『読みながら書く』 11
十一、SAとOA
『人間関係の疲れをとる技術』(下園壮太著。朝日新書)という本を読んで、私は「ウーム」と考えこんでしまった。
不安が発生し、思考がこんがらがった。
むろんこの本自体は非常に優れた本である。文字通り人間関係の疲れをとり、心の不調を改善するための現実的な知恵に満ちている。
目についた部分を引用させて頂く。なお、引用文中で( )に入った黒字は私による補注である。
だんだんと自分の思考の絡まりがとけてきた。
整理のために、人間関係型不安をSA(Social Anxiety)、強迫性障害型不安をOA(OCD Anxiety)という風に呼び分ける事にする。
そのうえで、私は以下のような事を考えているという事が、私自身、分かってきた。
一、『人間関係の疲れをとる技術』という本が扱っているのはSAであって、OAではない。
二、SAは我慢したり忘れようとすると悪化する。それは下園氏の言う通りである。それゆえ適切な対処が必要である。
三、しかし、OAは「対処しようとすること」自体が症状を悪化させる。
四、OAについては、「追究しない」事、或いは「深刻に扱わない」事が、何より大切である。
五、OAを「追究せず」、強迫性障害が落ち着いていれば、SAへの落ち着いた適切な対処も可能になる。
六、「白黒思考はいけない」というのはSAに関する話であって、OAに関して「白黒はっきりつけない」対処をするとOAは悪化する。例えば「追究しないと決めつけず、時には追究する」というような事をすると、追究が延々と続くし、「時には、というのはどういう状況なのか」といったような追究も新たに発生する。ゆえに、OAに関しては白黒思考(追究は、しない)で対応するほかない。
七、OAが悪化し、慢性的に心が不安・混乱に満ちた状態だと、SAへの適切な対処も困難になる。例えば本を一行読む事も困難になる。また、怒りっぽくなる。
八、以上の事から、『人間関係の疲れをとる技術』に書かれている内容をOAに適用するのは誤りであると言える。強迫性障害を持っている人は(少なくとも私は)、SAとOAを混同せず、それぞれに対して適切な関わり方をするべきである。
ここまで書いてきて、かなり心が落ち着いた。続きはまた明日にでも考えよう。
(2023年6月20日)