映画感想2 タクシードライバー
開始5分
今年に入ってから私は映画をかなり真剣に観るようになり、それだけ「何を観るか」という問題を慎重に考えるようにもなった。評判が良いからとU-NEXTで再生して、5分くらい観て「これは違う」と中断した作品も数本あった。一度それでも我慢して40分くらい観た事があったが、やはり開始5分の直感は当たっていた。私には合わない作品※だった。
(※『舟を編む』という2013年の日本映画。この作品については今後、感想をまとめたいと思う)
タクシードライバー
今年9月18日に、『タクシードライバー』を観た。
1976年のアメリカ映画。
監督はマーティンスコセッシ。
主演はロバートデニーロ。
音楽はバーナードハーマン。
90点。
開始5分が特に素晴らしい作品である。
不気味なドラムロールとブラスセクションが、坂から転げ落ちるような音楽を展開するなか、タクシーのボディがもうもうと排気ガスを広げながら画面いっぱいに姿を見せて左へ動き、煙をバックに「TAXY DRIVER」の文字が堂々と表示される。
この出だしで、「ああこれは観ないとあかん」と思った。
その後に流れる美しく気だるいテーマ曲(と、その背後に見える粒状に滲んだような夜の街の映像)がまた、素晴らしい。
映画全体としても嫌な部分がない(変な人ってこんな感じだよね、みたいな雑な表現がない)。
しかし、この映画の肝というか御本尊というか、魅力の本体というのは、冒頭5分なのではないかと思う。