箕面随想
父はよく旅をする人であったが、私が知る限り五十代以降の父の旅はどれも規模が小さかった。泊まりがけの旅行は殆ど無く、基本的に車で朝に出かけ、夜帰ってきた。行き先は能勢町か、丹波篠山が多かったと思う。
たった一軒であっても、行き先に温泉があると、そこが主要目的地になる事は私にも当てはまるが、父もそうであった。能勢町のどこかに、いつも賑わっているスーパー銭湯があり、私も父と2回ほど、行った事がある。恐らく父は80〜100回は行っていたと思う。
この文章はバス停で、バスを待ちながら書き始め、特に山も用意していない。しかし綺麗なバス停が出来たもので、2年前までこの場所は利用する人のほとんどいない立体駐車場だったと記憶している。そこが屋根付きのバスロータリーになり、見上げると駅が在るという「箕面萱野駅完成イメージ図」はかつては非現実的な絵に過ぎなかったが、今や現実にここにそれがある。驚いてしまう。バスが着いた。