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日高屋で親のエゴと、娘への思いで揺れた話。
娘はいま、ちょっと太り気味だ。
本人もそれを少し気にしていて、ダイエット中。
ダイエットと言ってもまだ9歳。「痩せる」ということじゃなく、お菓子を控えるとか、バランスよく食べるとか、好き嫌いをしないとか、運動するとか、そういう生活習慣の見直し中。
そんな娘は、ラーメンが大好きだ。
小さい頃から「めんめんが好き!」と言ってうどんをよく食べていた。
いまは、ラーメン、そうめん、うどん、パスタ、なんでも好きだけど、とくにラーメンに目がない。
とくにお気に入りは、日高屋のラーメン。
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他にも色々とラーメン屋はあるけど、家系ラーメンとかに連れて行っても、さほどテンションが上がらない。
一方の日高屋は、きっと365日連れて行っても喜ぶであろうほどのお気に入り。
家の近所にある日高屋に行けば席に座るなり「あ、わたしはいつもので!」と言うなり本を読み始め、メニューも見ない。
ちなみに「いつもの」とは「中華そばのネギ抜き」である。最近はこれに「半チャーハン」が加わった。。。
食べ終われば、店員さんに向かって「ごちそうさまでしたー!!!」と大声で伝え、さっそうと去っていく。もういっぱしの常連さんだ。
*
だけど今は絶賛ダイエット中である。
大好きな日高屋にもしばらく連れて行ってあげていなかった。
そんなある日。
仕事でヘロヘロになっていた僕は、どうしても夕飯をつくる気力がわかず、久しぶりに日高屋を解禁することにした。
どれくらいぶりだろう。何度も「日高屋行きたいな〜」と言っては無下に断られるため、娘の中に溜まりに溜まった日高屋熱が爆発した。
店に入るなり「わたしはいつもので! あ、チャーハンも忘れないでね!」と言うと、待ちきれずにソワソワしている。
見るからに浮き浮きしていて可愛い。
「お待たせしました〜」
目の前にラーメンと半チャーハンが到着する。
熱々のラーメンをはふはふ言いながら、猛烈な勢いで食べだす娘。
ラーメンもチャーハンも飲み物であると言わんがばかりの勢いで、ほとんど噛まずに飲み込んでいく。
「ねえ、そんな風に噛まないで、飲み込むように食べないで」
「いまダイエット中でしょ? そんな食べ方したら意味ないよ」
娘の箸がピタリと止まった。
「…だって、おいしかったんだもん」
すっかり、興ざめしたようにがっかりした様子で、今度はゆっくりと食べ始める。
その様子を見て胸がざわついた。
やっちまった、という気持ちがムクムクと沸き上がってくる。
言ったことはべつに間違ってはいない。
言い方はたしかにちょっとキツかったかもしれない。
でも、僕の胸がざわついたのは、正しいことを言ったとか、言い方をもっと優しく言えばよかったとか、そういうことじゃなかった。
*
僕は子どものころ、太っていた。
娘なんかとは比較にならない、しっかりとした肥満体型だった。
僕の太り過ぎを心配した親は、事あるごとに「もうオシマイ」「食べ過ぎ」「食べるのが早い」「そんなに食べるな」と言い続けた。
子ども時代、色々あった僕はストレスのせいもあるのか、お腹が空きすぎて、夜中に起き出して砂糖の入った瓶を抱えてボリボリ食べたこともあった。いま考えると異常行動だ。
そんな僕を止めるには、口うるさく言うくらいしかなかったのだろう。
だけど、言われるほどに僕は「食べることへの罪悪感」が芽生えるようになっていった。
そのうち、食べては吐く、を繰り返すようになった。吐くと罪悪感がなくなるし、吐けばいいやと思うと罪悪感なく食べることができた。とくに病院で診断を受けたりはしていないけど、おそらく軽度の過食症だったのだと思う。
そんな自分の経験から、娘には食べることを「楽しい」と思ってほしかった。とくに、小さい頃は全然食べなくて痩せっぽちだったから、娘が美味しく食べられるものは何か、どうすれば楽しく食べるか、ずっと考え続けてきた。
それが、いざ食べるようになれば、今度は「食べ過ぎ」だの「早すぎ」だの言おうとしてしまう自分がいた。勝手なものである。
もちろん、よく噛んで食べることは大事だし、早食いは胃腸にも悪い。食べるなと言ってるわけじゃない。間違ったことはべつに言ってない。
それでも、娘が楽しみにしていて、うれしくて夢中になっている気持ちを無下にせき止めてしまった。
久しぶりの大好物くらい、好きに食べさせてあげる寛容さすらなかったのかと自分にがっかりしてしまった。
親父の小言は、普段のご飯のときに伝えたってよかったじゃないか。
いや、きっと「言ったこと」よりも、それを口にしたときの自分の感情にざわついたんだろう。それは、言葉を選ばずに正直に言えば、すごく嫌なものを目にしたような気持ちだった。
そしてそれは、僕が親や友人に「食べ過ぎ」と言われるときに、その人達から感じたのと同じ感情だったのだ。
*
幸い、娘はさほど気にした様子もなく、少しの間シュンとしていたけど、また美味しそうに食べ始めた。
今度は僕も、それを同じように嬉しい気持ちで見守ることができた。
いつも通り、娘は大きな声で「ごちそうさまでしたー!!!」と言うと「また来まーす!!」と言いながらさっそうと店を出た。
娘には、これからも好きなものを美味しく食べていてほしい。
幸せな気持ちでご飯を食べられるというのは、間違いなく人生の喜びだから。
食べることに罪悪感を抱いていたころは、本当に辛かった。
娘がそんな気持ちにならないように、でも、ちゃんと健康であるように。
たまに失敗もするけど、楽しくやっていきたい。
今日も見に来てくれてありがとうございました。
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