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海外高度人材活用のススメ〜vol.3 居住支援編

今回は、海外人材を日本に呼び寄せて働いてもらう場合の居住支援サポートについてご紹介します。
プライベートの問題なので自分でやってもらったらよい話ではあるのですが、日本に来て右も左も分からない状態で、「自分のことは自分でやってね」と放り出すのも酷です。弊社では来日して数日間は担当スタッフが同行して生活面の環境整備をサポートしています。それによって早期に仕事に集中しハイパフォーマンスを発揮してもらうことにもつながります。
ざっと書き出しただけでも以下のような項目があります。

  • 家探し

  • 電気・ガス・水道

  • インターネット

  • 家財を揃える

  • 居住マナーを教える

  • 市役所の住民登録

  • 健康保険・年金保険・雇用保険

  • 銀行口座開設

  • 印鑑作成

  • 携帯電話

  • クレジットカード

日本人だったら難なくクリアできることでも、外国人というだけでなかなかスムーズに行きません。ドラクエみたいにこの順序でこのアイテムを取得しないと次に進めないといったハマりどころもあるので要注意。一つ一つ見ていきたいと思います。

家探し

まず最初に立ちはだかる壁がこれです。
国籍を理由に入居を拒否することは本来禁じられているのですが、現実には外国人であるということを理由に拒絶されるケースが多々あります。不動産屋さんに電話して、「入居される方が外国人なのですが」と伝えると、「ああ、ダメですね」とにべもなく断れることがほとんどです。
完全にNGでなくても、「〇〇人と△△人はNG」と一部の国籍についてNGと言われたり、「日本語が話せればOK」と言われるケースもあります。その背景には過去にオーナーさんが外国人に部屋を貸してトラブルになったケース(無断で帰国したまま連絡がつかなくなったとか、騒音で近隣から苦情が来たとか)があったりします。そんな場合、会社側で本人にきちんと居住マナーをレクチャーし、何かあれば会社の人間が窓口になりますと伝えれば、不動産屋さんがオーナーさんと交渉してOKにしてくれることもあります。

外国人の家探しで抑えておきたいポイントをいくつか。

  • 在留資格認定証明書(COE)ないし在留カードが発行されていること(短期滞在の観光VISAでは家は借りられません。)

  • 在留期間に余裕があること(在留期間が残り1〜2ヶ月しかなかったりすると入居を断られることがあります。)

  • 指定の家賃保証会社が外国人でも保証してくれる会社であること(外国人NGの保証会社があります。)

  • 日本人の保証人または緊急連絡先を有すること(保証人なし・保証会社のみで通る場合もあります。)

結局のところ、すぐに借り手がつくような優良物件は入居の条件が厳しくなります。敷金・礼金ゼロ、保証人なしでもOKといった物件は駅から遠かったり、築年数が古かったりといった理由で借り手がつきにくいため外国人入居可であることが多いのが実情です。とは言え、やはり社員にはなるべく良い物件に居住してもらいたいので、不動産屋さんに電話を掛けまくって探すしかありません。

もう一つポイントになるのが、入居者本人が敷金・礼金といった初期費用に納得してくれることです。これは会社で借り上げる場合は問題にならないのですが、本人が借りる場合は初期費用の高さにびっくりして怒り出す外国人の方もおられます。入居時・退去時にどのような費用が掛かるのか事前にきちんと説明しておくことが大事です。退去時のクリーニング費用や鍵交換代、一年未満で退去してしまった場合の短期解約違約金の有無など、家を探し始めた時点で早めに説明しておけば理解が得られやすいでしょう。
また入居時に部屋の傷や汚れをチェックし、確認書を管理会社に提出する場合は一緒にチェックします。外国人ではどこまでが経年劣化でどこからが借主の責任になるのか基準が分からないためです。畳の部屋がある場合、外国人はその上に直接ベッドや家具を置いてしまい、退去時に凹みができ、畳替えの必要が生じてクリーニング費用が増大してしまうこともあります。そういったことも前もって丁寧に説明しておけば後日のトラブルを回避できます。

そんなこんなで家を借りるのは大変というときに手っ取り早い手段がシェアハウスです。外国人は日本に来てすぐは友達が少なく寂しい思いをすることもあると思いますので、シェアハウス入居を勧めるのもよいでしょう。
英語堪能な日本人のシェアメイトが親切に生活面のサポートをしてくれたりすることもメリットの一つです。
シェアハウスを探す際、私は以下のサイトを活用しています。

また、弊社では外国人の日本での家探しをサポートするサービス、SUGEE Housingを提供しています。外国人の家探しにお困りの場合はお気軽にご相談ください。

電気・ガス・水道

電気・ガス・水道の手続きはさほど難しくありません。ただし、日本に到着してすぐにライフラインなしでは生活できないので、あらかじめ予約して本人到着前にすべて済ませるか、日本語が話せないと開栓に来られたガス会社の方が困ることもあるため入居当日に一緒に立ち会います。

インターネット

インターネットは工事予約に時間を要し、日本に来て1ヶ月後になってしまうこともあるため早めの対応が必要です。弊社はIT企業で、在宅勤務も多いため、ネット環境がないとそもそも仕事になりません。
簡単なのはシェアハウス入居や無料インターネット付き物件を見つけてあげることでしょうか。あとは、インターネット工事が終わるまで会社のポケットWifiを貸与することもあります。

家財を揃える

海外の方がよく家財一式を揃える際に活用しているのが、Mottainai JapanのFacebookグループです。フォロワー6万人超で、日本を去る・日本に来る外国人の方同士がよく不要な家財一式を直接売買するのに情報交換されています。弊社でも、このグループを通じて冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、ベッドなど丸々廉価に入手したメンバーがいます。
あとはセカンドストリートなどのリユースショップで購入する社員もいます。

居住マナーを教える

入居時に日本のゴミ出しルールについても説明します。
燃えるゴミ・燃えないゴミの曜日、分別の仕方や市の指定ゴミ袋の有無、前日夜から出してはいけないことなど。
出入国在留管理庁が公開している「生活・就労ガイドブック」も参考になります。このガイドブックは多言語で配布されているため、「第12章 日常生活におけるルール・習慣」を入居者の母国語でプリントアウトして渡してあげるのも良いでしょう。

市役所の住民登録

日本に来て真っ先にやらないといけないのが、市役所での住民登録です。
これも簡単。ただ市役所に行って住民登録するだけです。ただ、日本語が喋れたほうが良いので弊社の担当スタッフが同行しています。

健康保険・年金保険・雇用保険

会社の健康保険や厚生年金保険の手続きにはマイナンバーの記入が必要です。また雇用保険の手続きにはマイナンバーと在留カード番号の記入を求められます(ビザ資格に応じて就労時間に制限があるため、国が就労先を把握するためと思われます。)
マイナンバーは、市役所の住民登録が済んだら1〜2週間後に郵送で本人の住所宛に届きます。協会けんぽの場合、マイナンバーを記入しないと被保険者資格取得届を受理してもらえません。
もう一つ注意点は、例えば、月の途中で日本に到着し、翌月1日から入社するケースです。その場合に1ヶ月だけ無保険状態の期間が生じてしまうため、入国日から健康保険・年金保険に加入させてあげるかどうかという問題が生じます。可能なことなら、入国後同月内に会社で資格取得してあげるのが望ましいでしょう。

銀行口座開設

銀行口座開設は外国人の場合、私の知る限り、ゆうちょ銀行一択です。(外国人の方はJP Bankと呼びます。)

郵便局の窓口に在留カードを持参して手続きをすれば、たいていその日のうちに口座開設してくれます。その他の銀行でも開設できないことはないですが、審査に時間が掛かります。ネット銀行でも比較的容易に開設できますが、ここは現金大国の日本、ATMでお金を下ろせないと何かと不便なので、まずはゆうちょ銀行で口座開設するのが良いでしょう。なお、印鑑なしのサインだけでも口座開設可能です。

印鑑作成

ではどんな時に印鑑が必要になるか。一つは日本に来てご自身でビジネスをされる場合です。外国人が法人設立し、経営管理ビザを取得する場合、代表者個人の印鑑証明書が必要となります。ハンコは本人の姓名いずれかのカタカナ表記で作りましょう。過去にご本人の希望で漢字の当字でハンコを作ったことがあるのですが、市役所の印鑑登録で身分証明と一致しないため受理してもらえずあえなく作り直しとなりました。
他にも不動産の賃貸契約の際、ハンコがないとダメとおっしゃる大家さんがたまにおられます。そんな場合も近所のハンコ屋さんに走ります。よほど珍しい苗字でない限り、日本人の苗字のハンコは既製品がありますが、外国人のハンコはオーダーしなければなりません。チェーンのハンコ屋さんであれば大体即日仕上げてくれます。

ここで少し話は逸れますが、在留カード、銀行口座、健康保険証などはすべてカタカナ表記や姓名の順序、ミドルネームを記載するか否か統一しておきましょう。届出先によって姓名順が逆転していたりすると、姓名不一致で撥ねられることがあります。姓名の順序はすべて在留カードの表記に合わせ、カタカナ表記も最初に決めたら同じ読み方で統一しましょう。(届出先によっては入力文字数に制限があって強制的にミドルネームが省略されたり名前の途中で切られてしまうケースもあるのですが。。。)

携帯電話

携帯電話は大手キャリア(Docomo、KDDI、ソフトバンク)でも契約できますが、在留期間が残り◯ヶ月以上ないとダメなど審査が厳しいことがあります。
GTNモバイル、楽天モバイルは、外国人でも比較的容易に契約が可能です。とくにGTNモバイルは外国人に特化しており、審査が早く多言語サポートも提供しています。(GTNさんは日本の方にはあまり馴染みがないかもしれませんが、外国人向けの家賃保証をしており、家探しでも大変お世話になっています。)

クレジットカード

海外で発行されたクレジットカードだと日本で使えないこともよくあり、日本でクレジットカードを作る必要があります。
クレジットカードの作成には、日本での住所と銀行口座、電話番号が必要なため、住民登録、銀行口座開設、携帯電話手続きがすべて終わっていないと作れません。また在留期間が残り1年以上あることなど審査が厳しい会社もあります。
外国人が作りやすいクレジットカードとして、GTNエポスカードやACマスターカード、楽天カードの名前がよく挙げられます。

家に帰るまでが遠足

以上、日本に来たときのことを中心に見てきましたが、帰る時のことも考えなければなりません。「家に帰るまでが遠足」、「立つ鳥跡を濁さず」とはよく言ったもので、色々ほったらかしにしたまま自国に帰してしまうと印象が悪く、外国人入居お断りのオーナーをさらに増やすことにもつながりかねません。
自国に帰る場合は、銀行口座の閉鎖や電気、ガス、水道、携帯電話の解約など諸々の手続きを済ませ、国内に友人・知人がいる場合は郵便物の転送サービスを申し込み、代わりに受け取ってもらうなどの手配をしてから帰国してもらいましょう。要件を満たせば国民年金・厚生年金の脱退一時金をもらえることもあります。以下の参考サイトをご参照ください。

日本年金機構「日本から出国される外国人のみなさまへ」
https://www.nenkin.go.jp/international/japanese-system/withdrawalpayment/payment.files/I.pdf

厚生労働省「脱退一時金等について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/001224070.pdf

日本に留まって他の会社に転職する場合は、本人が所属(契約)機関に関する届出を14日以内に出入国在留管理庁長官に提出しなければなりません。

こういった手続きがおろそかにならないよう、帰国(退職)時に公私に渡る必要項目を書面で渡してあげるのがオススメです。

まとめ

今回は海外人材を日本に呼び寄せる場合の居住支援についてご紹介しました。そこまでサポートしなくても、今はネットで色々と情報も入手できますし、20〜30代の若手人材であればすぐに適応してくれます。
ただ、公私に渡って手厚いサポートを提供することで、入国後すぐに仕事に集中しやすい環境作りをしてあげることもできますし、会社へのエンゲージメントも高まるのではないでしょうか。

株式会社eftaxは宅建業のライセンスを保有しており、外国人の日本での家探しをサポートするサービス、SUGEE Housingを提供しています。家探しに留まらず、英語での契約手続きや居住マナーのレクチャー、生活面のサポートまでフォローしています。
外国人の家探しにお困りのことがおられましたら、お気軽にご相談ください。

次回は、海外人材とリモートで協業する際の各種ツール編について書く予定です。

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