「身体拘束をしなかった結果事故が起こった」は通用しない?
こんにちは、とも(@tomoaki_0324)です。
今回は、「身体拘束をしなかった結果事故が起こった」は通用しない?という内容について法的な面から解説します。
高齢者虐待防止又は身体拘束廃止研修の資料として役立つ内容になっています。
ぜひ最後まで目を通してみてください。
転倒事故などの法的責任についての考え方
介護職員の中には「身体拘束廃止には賛成だけど、現実問題として、もし転倒事故などが発生すれば『身体拘束をしなかったこと』を理由として、損害賠償等の事故責任を問われるのではないか」という不安をもつ方もおられるかもしれません。
身体拘束をしなかったことを理由に事故責任を問われるのでしょうか?
答えは"NO"です。
そもそもケアプランを作成する上で、身体拘束を入れることはせず、原則禁止とされています。
介護保険制度では「マネジメント過程において事故発生の防止対策を尽くす」という考え方です。
よって仮に転倒事故などが発生した場合でも、「 身体拘束」 をしなかったことのみを理由として法的實任を問うことは通常は想定されません。
逆にマネジメント過程において身体拘束以外の事故発生防止のための対策を尽くしたか否かが重要な判断基準となります。
具体的には、「①切迫性 ② 非代替性 ③ 一時性」 を満たす" 緊急やむを得ない場合"にあたるのか、 また、 定期的に身体介助を介助する話し合いが設けられたのか、等の記録を確認されます。
そして身体拘束そのものによってご利用者の身体機能を低下させた結果、転倒・転落等の事故などを招いた場合には、「 身体拘束をしたことを理由に、 損害賠償等の責任を問われることもある」 ことを留意ておく必要があります。
個別サービス計画作成時において注意すべき点
まずはアセスメントにより転倒事故などの可能性の有無を洗い出します。
そして事故の要因が把握された場合には、 個別サービス計画の内容を工夫することとなります。
その際 ご利用者の 「生活や行動の自由、 自立の促進、 身体の安全」という価値のバランスをきめ細かくとるという観点が重要です。
また、 必要に応じて再アセスメントを行い、 新たな事故発生要因の発見に常に努めることもしていきます。
ご利用者やご家族は、身体拘束による弊害や、個別サービス計画の目的や意義・重要性を十分に理解していないこともあるので説明を十分に行いましょう。
アセスメントの実施から個別サービス計画の作成等にご利用者やご家族の参加を促すことも良いかもしれません。
そしてそれらの記録を整え、 サービス提供の過程と根拠を常に確認できるようにしておくことも必要です。
十分に配慮された個別サービス計画を作成しても転倒や事故は生じてしまいます。
そのような時に備え下記の書類を整え、運営しておく必要があります。
ヒヤリハット記録
事故報告書
事故発生又は再発防止に関する研修記録
緊急時の対応マニュアル
万が一に備え、自分自身を守るために、このような取り組みを怠らないようにしておきましょう。
事故が発生した場合の対応
事故発生( 発見) 直後は救急搬送の要請など、ご利用者の生命・身体の安全を最優先に対応する必要があります。
その後は速やかに家族に連絡をとり、 その時点で明らかになっている範囲で事故の状況を説明し、 当面の対応を協議します。
また担当ケアマネージャーや市町村等への連絡を行うことが必要な場合もあります。
ある程度落ち着いた後に、
事故に至る経緯
事故の態様
事故後の経過
事故の原因
等を整理・分析しましょう。
その際には、 アセスメントの実施からサービス計画等の作成までの一連の過程や、 それに基づくサービス提供に関する記録等に基づいて行うことが必要です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
身体拘束をしなかったことを理由にして施設等が責任を問われることは原則としてありません。
むしろケアのマネジメントをどのように行ったかという点が重要になります。
「転倒や事故後は適切な対応がされたか」
「日々、転倒や事故に対しての取り組みがなされているか」
「研修は定期的にされているか」
「マニュアル等は整備されているか」
なども重要です。
これを機に再度見直してみてはいかがでしょうか。
参照元:厚生労働省「身体拘束ゼロへの手引き」(pdf)
それではこれで終わります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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