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手芸ノート(5) 手芸は陣地づくり
このまえ、ふと「がまぐちポーチって、何年も作ってないな。どうやって作るんだったっけ」と思いつき、ダイソーに行ったときに100円の口金を買ってきました。それを使って作ったのが写真のがまぐち。
立て続けに2つ作って、ようやく勘を取り戻しました。そうそう、こんな感じだった。最初は同封の型紙通りに作り(鳥の柄の方)、2つ目は少し形を変えて、ちょっとした達成感。今は、ヘアゴムとシュシュ入れとして活用しています。
そして、さらに自覚したのですが、私が手芸をしようと思い立つのは、すごく元気がいい時よりも少し薄暗い気分の時の方が多い。天気でいえば曇天くらいの精神状態の中でミシンに向かっているようです。で、1時間から1時間半ほど作業をして何らかの形が出来上がると、それが完成には至っていなくても、「オレはやったぜ」という気分になって前向きに日常に戻っていきます。そんなパターンが見えてきました。
自分の性格の単純さを思い知るようではありますが、手芸で得られる達成感は、私の場合はかなり根深くて強力だと実感しました。それはおそらく、作る物が実用品ばかりだからなのでしょう。「私は私の生活を作っている」という自信に直結していくのです。DIYを趣味とされている方も、同じような充足感を覚えておられるのではないでしょうか。
DIYだけでなく、料理や園芸など暮らし回りのジャンルを得意とされる方は、多分に似た思いをお持ちなのではないだろうかと勝手に推測しています。自分の生きる場所を具体的に自分の手で作り上げていく。足元の陣地を自ら築いていくイメージです。
その作業はトライ&エラーの繰り返しではあるけれど、あれ、違ったなと思えば軌道修正をしたりやり直したりすればいいのです。これは、すべてのクリエイションに共通している点かもしれませんが。
生活は自分の手でいくらでも作り直せる。それはきっと、生きていくことも同じです。