手芸ノート(3) 昔作ったもの、使ってる?
手芸をしていると、知らず知らずのうちに家の中に物が増えていきますよね。ついつい買ってしまう可愛い布たちに、必要な道具類、そして、自分が作った物。これらのうち、布や資材の収納に関しては、手芸雑誌でよく小特集が組まれます。きちんとたたまれて棚や籠にしまわれたカラフルな端切れたち、可憐な箱や壜に小分けされたレースやボタン…。
誌面に掲載された小さな写真を食い入るように見つめて、「可愛い!!」と唸ったことがこれまでに何度あったことか。記事に触発されて、レースを入れようとガラスのキャニスターを買いに走ったこともありましたよ。
でも今は思うのです。
みんな、自分が作った物をどこに置いてる?
どんなふうに使ってる?というか、ちゃんと使ってる?
バッグやポーチ、がまぐち、クッションetc. 手芸の成果物って、意外とけっこうかさばります。平面の布が立体になるのだからそれは当然のことなんだけれど、針を持つのが習慣になればなるほど、作品(や、それらしきもの)もジワ~ッと増えていくことになる。
前回お話ししたように私は販売をしないので、作ったものは自分でとことん使い込むようにしています。布の色が褪せてクタクタになるまで何年も使ってから、処分するものはして、愛着のあるものだけ手元に残しておくのが習慣となっています。
しかしながら、そんなエラそうなことを言っていても、時には自分の流儀を裏切る事態も起こります。
先日実家に帰って、今は誰も使っていない箪笥の引き出しを何気なく開けてみたとき。そこには、かつて私が作ったと思しきメルヘンな色柄の布バッグが三つ入っていました。思わず「ぎゃっ」と言って引き出しを閉め、それきりです。
皆さんはそんなことってありませんか?昔作ったものを見て、「ないわ~!」と唖然とすることって。自分の好みは変わるものだし、手芸の世界にも流行はあります。
だから、今の私は思うのです。手芸雑誌を編集される出版社のみなさま。プロの手芸家はもちろんのこと、手芸を趣味とする多くの方々が、暮らしの中でどのようにご自身の作品を活用されているのかをぜひ特集していただきたい。最近作った物はもちろんのこと、過去の作品をどうされているのか、是非是非ご教示いただきたい。できれば、手芸を始めたころの作品を、どう扱っておられるのかも知りたいです。
きっと多くの方が、生活の中で自作の布小物を素敵に役立てていらっしゃることでしょう。私も、赤っ恥な過去のバッグをいつかは何とかリメイクして、使えるようにしたいと思います。