日本語入力を考える
しばらく前まで、「日本語を入力するなら ATOK だよね!」みたいな論調を見かけることがあったのですが、最近でも続いているのでしょうか?
わたし自身は、あまりカスタマイズした環境に慣れすぎてしまうと他の環境で操作ができなくなってしまうことを避けるために、環境に依存するようなカスタマイズは行わないようにしています。
Windows 環境での日本語入力も、Windows に標準インストールされている「Microsoft IME」をそのまま使っています。パソコンを買い替えて Windows 10 から Windows 11 に変わったら、「Microsoft IME」の挙動が Windows 10 の頃とは少し違うような感じがしていますが、「Windows 11 では、これが標準なんだ」と思ってそのまま使っています。
日本語入力のためのソフトウェア
パソコンで日本語を入力するためには、前述の「Microsoft IME」のようなIME が必要になります。厳密には、日本語版 Windows で動作している「Microsoft IME」は「Microsoft 日本語IME」というもので、中国語や韓国語など日本語以外でも IME が必要な言語を利用している国の Windows には、その言語用の「Microsoft IME」が用意されているようです。
バージョンアップを重ねて機能が向上!
この「Microsoft IME」も、ずいぶん前から存在しているものです。
IME は Input Method Editor を略したもので、以前は FEP(Front End Processor)と呼ばれていました。Windows の過去のバージョンに付属していたものは、機能的に未成熟で、前述の ATOK だけでなく、松茸や VJE といったソフトウェアが別途単体販売されていました。
Google も 2009年にベータ版を公開して以降、現在まで「Google 日本語入力」という IME を提供しています。
まるで辞書?
こうやって各社の IME が競争することによって、Windows に標準でインストールされている「Microsoft IME」も機能が向上していきました。
下図は、「Microsoft IME」で「はかる」と入力して変換したときの様子ですが、「測る」「計る」「諮る」「量る」といった感じの意味を表示して、どの漢字が適しているのかを判断する材料を与えてくれます。
このように無償で提供されている「Microsoft IME」の機能が向上していったことで、有償で販売されている IME を購入してインストールする必要性が薄れていき、前述のような IME 製品は姿を見かけなくなったのでしょう…
CBT と IME
パソコンが普及したことで、「漢字を読めるけれど書けない」といった話もよく聞きます。高度な機能を備えるようになった IME を使えば、手書きできない漢字を使った文章も簡単に作成できてしまいます。
こんな IME が利用できるパソコンを使って、CBT(Computer Based Testing:コンピュータを使った試験方式)を行おうとしたら、漢字の読み書きなどは扱えなくなってしまいます。
漢字だけでなく、英単語の変換にも対応しているので、国語に限らず英語などの教科でも注意が必要かもしれません。
クラウドのデータベースと連携した新語などにも対応した、サジェスト機能によってうろ覚えの入力から正答を導いてしまうかもしれません。
「記述式の問題をどのように採点するか」という議論はよく目にするけれど、こういった部分はどのように対応するんでしょうか?
Chromebook でのロックモード
Chromebook で「Google フォーム」を利用したテストを行う場合には、ロックモードを利用して、他のアプリなどからの補助を得られないようにできる。
この機能を利用しても、
Chromebook の IME が提供する機能は制限できない。
Chromebook 以外のデバイスを利用している場合には利用できない。
といった制限や注意事項は残ったまま。
こういった部分にはクラウドサービスの「マルチプラットフォーム」というセールスポイントも届いていないようです…
最後に
日本の公用語が「日本語」から「英語」に変更されれば、IME を利用しなければならないケースも減少してくるのだろうけど、そんな状況にはならないだろう… となれば、IME を含めた ICT 技術による補助があることを踏まえたテストにしたり、そういった部分ではうまくアナログとデジタルを使い分けたり、といった対応が必要なんだろうな、と思います。
そう考えると、いろんな環境に触れておくことって大切だな、と思いました。