きょうき
今日も刺している。
屈託なく笑っているあいつを
いつも正しい先生を
無償の愛を押し付ける両親を
モノクロの世界に、
鮮血だけが彩りを加える。
清々しい
きっと快晴ならこんな気持ちなんだろう。
明日もまた、刺していくんだろう。
同じ人を違う刃物で。
誰も傷つけず、
自分だけ傷つけ、
自分だけ慰めていく。
街のチンピラ
偉そうな政治家
賢いニュースキャスターも
この刃物があれば怖くない。
対等でいられる。
ある日、刃物がバレた。
刃がついているはずもないのに。
僕は見透かされたんだ。
ちっぽけな自尊心を
下劣な品性を
バレてしまえば、
行使できない。
自意識過剰な僕の趣味だ。
あとは卑屈になるしかない。
腰を低く、
こうべを垂れよう。