見出し画像

職場が生きる 人が育つ「経験学習入門」 を読んで実践

本を読んだり、研修を受けるだけではほとんど学習効果はない。
成長したいとき、成長させたいとき、みなさんは何をしますか?僕はこの本を読むまで、研修、読書のようなインプットを増やすことをしてきました。しかし、研修や読書による学習定着率はかなり低いことがアメリカ国立訓練研究所の研究でわかっています。学習方法と平均学習定着率の関係は下図の「ラーニングピラミッド」で表すことができます。これによると読書や研修による学びはたった10%以下しか定着しません。一方で自ら体験したり、他人に教えるとその定着率は75%以上と読書や研修の7倍以上の学習定着率です。この考え方が元になっているのがこの本の「経験学習」でした。もちろん、読書や講義の意味がないと言っているわけではありません。そこで学んだことを他人に教えれば学習定着率は90%を超えるわけですから。

画像2

また、この本では仕事の中で経験した事をアウトプットする事で学習定着率を向上する取り組みが書かれています。ただ、漫然と仕事をするのではなく、仕事をして学んだこと、次回以降に生かせる学びがあったか、反省すべきことがあったかなど具体的に誰かに話すこと、アウトプットする事で自らを振り返る実践方法が書いてあります。ただ、本人にとってあまり挑戦的ではない仕事である場合は仕事中の試行錯誤が少なく、そこから得られる教訓も少ないので適度な難易度の仕事が必要です。また、適度な難易度の仕事は本人がやりがいや面白さを味わうことにも繋がります。
これをふまえて、以下のようなアクションを実施しました。

アクションと結果

アクション

1. 経験学習のサイクルを作る仕組みを作りました。具体的には各人が自らを顧みる機会として、フォーマットを決めて仕事の振り返りをしてもらいます。そこから、1on1ミーティングを通して、教訓を引き出すように話を聴くことに徹します。最後に、その教訓を他に活かせるかを考えてもらいます。経験学習のサイクルとは、具体的経験をする→内省する→教訓を引き出す→新しい状況に適用する→最初に戻る のサイクルです。
2. 1on1ミーティングで話す時にフォーマットを決めました。
期間内に行った仕事の概要
経験したこと(うまくいったこと、いかなかったこと)
学んだこと
自由に記入すること
経験したことの点数付(5段階評価)
① 評価項目は挑戦的な課題か
② 良かった点や改善点を見つけたかどうか、やりがいや意義、面白さを感じたか
③ 具体的には挑戦的な仕事かどうか、仕事から教訓が得られたか

【結果】

気づきが得られていることを実感できるようになりました。あえてアウトプットする場を作ることは有効で、そのフォーマットを決めることで話し易くなりました。定期的な1on1は形骸化、書くことが面倒になってしまうことがあります。聴く側のスキルが大事だと思っています。話す側に話したいと思ってもらえれば良いのですが、こちらも学ばなければなりません。

本の概要と感想

本の冒頭、2人の営業マンの話があります。二人とも同じような経歴と実績を持っていましたが、だんだんと差がついてきます。一人は黙々と自分で改善をするタイプ、もう一人は悩んだ時に率直なアドバイスをくれる人が数名います。最終的に後者の人が伸びていきます。この話から、自分自身で反省するには限界があり、人が成長するには社内でも社外でも、誰か気づきを与えてくれる人の存在が必要であると言えます。また、その存在は30代以降に非常に大事になってくると思います。本の中である調査結果が示されます。それは30代以降は成長実感がどんどん下がり、35を超えたあたりからほぼ成長実感が横ばいになってしまうということです。原因は知識の固定化です。新しいかちをこの年齢の時に、気づかせてくれる相手や社内での仕組みがあれば、また成長を感じることができると思います。

印象に残った文書を引用 

挑戦的な仕事に取り組むほど(ストレッチ)、仕事中の試行錯誤や仕事の後の振り返りから引き出される教訓の質は高くなり(リフレクション)、その結果として感じるやりがいや意義は大きくなります(エンジョイメント)。そして、仕事にやりがいや面白さを感じれば、より挑戦的な仕事に取り組もうという気持ちも強くなります(ストレッチ)。
「ソリューションパックとか、お客様の事例データベース化、基本的には知識データベースのようなものを作り、似たようなプロジェクトがあれば、それを見ることができる環境にしています。私の持論からすると、考えなくなる世界なので、『効率化』というキーと『考えなくなる』ということを、どうやって折り合いをつけるかというのが非常に難しい」知識共有は効率化のためには有効な手段ですが、知識共有を進めすぎると、メンバーが自分で考えることを阻害していますが、知識共有を進めすぎると、メンバーが自分で考えることを阻害してしまうことがあるのです。
「ある精神分析学者によれば、人は他者を通してしか、自分を見ることができないそうです。ですから私は、クライアントや部下や同僚など、自分の周囲の人たちから得られるフィードバック情報を大切にしています。言葉によるものもあるし、態度や反応のようなフィードバックもありますが、それらに敏感になり、そこから何かを読みとるように心がけています。なかには解釈力が問われるフィードバックもありますが、何らかのメッセージが込められていることは確かなのですから」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?