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カリフォルニア州のAI規制(2024年9月)

カリフォルニア州でAI関連規制が成立したというニュースがいくつか流れてきて確認していたのですが、カリフォルニア州のAI規制は複数の法案で審議・成立しているため、結局「どれが成立したの?」「このニュース記事ってどれの話?」となってしまいました。そこで2024年9月23日現在の情報を整理したいと思います。

カリフォルニア州では法案が議会(上院・下院)で可決された後に、拒否権を持つ州知事によって30日以内に署名されると法案成立となります。州議会は2024年8月末で期末を迎え、それまでに可決された法案の署名期限が近付いており、すでに署名をされたものがありますので、それらの情報を整理します。

クリエイター権利保護(2024年9月17日付)

AB2602(Contracts against public policy: personal or professional services: digital replicas)

AIによって生成されたパフォーマーの声や肖像のデジタルレプリカの使用について契約書に明記することを義務づけ、パフォーマーは契約交渉において専門的な代理人を立てなければならないとするもの。これは、AIが許可なく声や肖像を複製するために使用されないことを保証し、パフォーマーや俳優のキャリアを保護するのに役立つとされる。

AB1836(Use of likeness: digital replica)

映画、テレビ番組、ビデオゲーム、オーディオブック、録音物などにおいて、故人の遺族の同意を得ずに故人のデジタル・レプリカを商業的に使用することを禁止するもの。これは、デジタルレプリカの無許可使用を抑制することを目的としており、アーティストが存命中に行ったパフォーマンスに関連するあらゆるオーディオビジュアル作品や録音物を包含している。


選挙関連(2024年9月17日付)

AB2655(Defending Democracy from Deepfake Deception Act of 2024)

大手オンライン・プラットフォームに対し、特定の期間中、選挙に関連する欺瞞的なコンテンツやデジタル的に改変または作成されたコンテンツを削除または表示することを義務付けるとともに、そのようなコンテンツを報告する仕組みを提供するよう求めるもの。

AB2839(Elections: deceptive media in advertisements)

AIが作成または操作した欺瞞的な内容を含む広告やその他の選挙資料を故意に配布することを禁止する期間を拡大するもの。

AB2355(Political Reform Act of 1974: political advertisements: artificial intelligence)

AIによって生成された、あるいは大幅に改変されたコンテンツを使用した選挙広告には、その素材が改変されたものであることを開示することを義務付けるもの。


透明性確保/犯罪化(2024年9月19日)

SB942(California AI Transparency Act)

広く使用されている生成AIシステムが、生成するコンテンツに出所開示を含めることを要求するもの。これらの開示は、人間には見えないが、これらのシステムとともに提供される無料のツールによって検出可能でなければならず、ユーザーはこれらのツールを使って、AIが生成したコンテンツを特定することができるようになる。この新しい措置は、急速に進化するデジタルコンテンツ制作の世界における透明性と説明責任を保証するもの。

SB926(Crimes: distribution of intimate images)

AIが生成した性的に露骨なディープフェイク・コンテンツを対象とする新たな犯罪を創設するもの。実在の人物に深刻な精神的苦痛を与えることを意図して、本物であるかのように見える性的に露骨な画像を作成・配布することを違法とする。

SB981(Sexually explicit digital images)

ソーシャルメディア・プラットフォームに対し、ユーザーが自分自身の性的なディープフェイクを報告するための仕組みを確立することを義務付けるもので、報告されたコンテンツは、プラットフォームが調査する間、一時的にブロックされ、確認された場合は永久に削除されなければならない。この法律は、自分の肖像が悪用された場合に、デジタル・アイデンティティとプライバシーを保護するために個人が迅速に行動できるようにするもの。


おわりに

AI関連法案だけで1週間で8つの法案が成立していました。(さすがに多すぎる…)

カリフォルニア州のAI規制に関する日本の報道記事ですと例えば以下がありますが、この記事は9月17日付で署名されたクリエイター保護関連と選挙関連の法案についての記事ですね。

こうした記事を読んで、どういう内容の法案が成立したのか、前に記事になっていた法案との関連は、といったところを誤りなく把握できるようにしていきたいところです。。。(日本の報道記事でも法案番号だけでも書いてくれると嬉しいのに…と思いますが…)


また未署名の主な法案(SB1047(安全性に関する法案)、AB3211(電子透かし等に関する法案))については以下でも整理しています。併せてご参照ください。


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