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留学前・海外勤務前に読んでおきたかった書籍

私は社費で2021年7月から約1年半、アメリカのロースクールへの留学と、アメリカ企業での勤務をしておりました。この記事では私が読んだ本の中で「留学や海外で働く前に読んでおきたかったな」と思う本をまとめてご紹介したいと思います。

日本人が海外で働く上で、異文化理解、Diversity&Inclusion、自国である日本の理解など、身に付けておくべきものが多くあると思いますが、そういった観点で気付きがある書籍と思います。海外で働かないとしても組織の多様性が進んでいく中で、こういった考え方は頭に入れておいた方がよいと思いますので、多くの方におすすめできる書籍です。

異文化理解力 ―相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養

8つの文化的要素を示し、国ごとにそのポジションをプロットした「カルチャーマップ」が面白く、自国の文化が世界の文化の中でどういった位置づけなのかがよくわかります。世界の多くの国からみると「時間に厳しい」とされる国でも、日本の方がさらに厳しい場合は日本から見れば「時間にルーズ」と捉えることになります。このように「自分から見た文化的評価は特定の立ち位置から見た相対的なものに過ぎない」ということがよく理解できました。

またもちろん国ごとの傾向を示したものにすぎず、その国の人が全員それに当てはまるというものではないですが、ある行動が個人の特性か文化的傾向かが分かるだけでも対処法が変わってくるので、やはり国の文化を理解することは重要だと思います。

国をベースにした異文化理解がメインの本ですが、組織で働くうえで自分と異なる文化的背景を持つ人と一緒に働くということはあり得ますので、多くの人におすすめの一冊です。



多様性の科学  画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織

組織の多様性が重要!ダイバーシティだ!とよく言われますが、なぜ重要なのかは漠然としかわかってなかったところ、これを読んで少し腹落ちしました。色んな事例が載っていて読み物としても面白く、スイスイ読み進めることができました。

組織の多様化に伴い意見の対立が必然的に増えて少数派が抑圧されがちになるので、多様性を活かす(=多様な知を効果的に共有・活用する)ためには、心理的安全性が欠かせないとのこと。最近よく言われる心理的安全性の重要性を理解する上でも助けになる一冊でした。

ちなみに外国人が一人で現地のコミュニティに飛び込むと、周りとは違う自分に対して、時には「劣っている」というネガティブな感覚になることもありましたが、そういった違いは優劣とは関係のないある種の多様性の一つと腹落ちするので、より自信を持てるようになるのではないかと思います。

組織の中で「自分らしさ」を出す価値・意味についても、この本を読むことで気付かされることが多くありました。周りと自分を比べて自信を失いがちな方にもおすすめの一冊です。



真のダイバーシティをめざして ―特権に無自覚なマジョリティのための社会的公正教育

多様性の話になると、マジョリティ(多数派)の人たちがどうやってマイノリティ(少数派)を理解・包摂するか、と少数派にフォーカスされて語られることが多いですが、この本では多数派側にフォーカスを当てている点が注目ポイントでした。

多数派に合わせた社会で生じる"不公正"で少数派が被る不利益だけでなく、多数派が払う代償についても触れていて、そういう意味でも社会全体の利益のためにDiversity&Inclusionが必要という論調が私にとっては新しい視点でした。

またある属性で多数派の人も、なんらかの属性で少数派になり抑圧された経験を持っているので、その経験を思い出すことで、その属性で多数派であっても少数派に寄り添うことができるんじゃないかという指摘も印象的です。

多数派目線で少数派に対してよくある「否定はしないけど地雷を踏みたくないので関わらない」という消極的な姿勢から脱却するヒントになりそうなので、たくさんの人に読んでほしい本です。


海外で結果を出す人は、「異文化」を言い訳にしない

「異文化」に囚われすぎて本質を見失ってしまうことのないよう、理解しておくべき違い(日本で働くときからの変化)を整理しています。

それは(1)国としての経済やビジネスの発展段階の違い、(2)自分のカバーすべきビジネス領域の違い、(3)自分の組織での役割の違い、(4)ビジネスの背景に存在する「文化」の違い、の4つです。その上でそれらに対処するための具体的なアクション、ビジネススキルなどを提案してくれます。

またベースとなるものとして、コミュニケーション量を増やすことにも強く言及しています。相手の文化を理解しようとする姿勢そのものが重要だというわけです。

私自身も経験から、相手の文化を知り試すことは自分の世界を拡げる意味でも有意義だと考えています。実際アメリカ/テキサスでの勤務にあたって同僚からオススメされたレストラン・アメフト観戦を積極的に試すようにしたところ、自分が知らなかったものに触れることができテキサスBBQ・ダラスカウボーイズ(アメフトのチーム)を大好きになりました。最初こそ人間関係を円滑にするためにという邪な動機もありましたが、それからは少し遠くまでBBQを食べに行った話や週末のカウボーイズの試合の話を同僚とすることが楽しみになり、QOLも確実に上がりました。



「静かな人」の戦略書 騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法

この本では内向型と外向型の二つのタイプに分けて、内向型の特性や活かし方を書いています。内向型の自覚がある人は自信を持つために、外向型の人は内向型を理解し良い関係を築くために、読んでおくとよいかなと思います。
特に私の留学先・勤務先だったアメリカでは、外向型の人が優位に立ちやすい文化でしたので、相対的に見て内向型である日本から挑戦するには、この本で内向型の特性を理解して自信を持ちつつ、外向型文化への挑戦の仕方を理解しておく、というのは準備として悪くないように思います。


これから海外で働く人だけでなく、様々な方の参考になれば幸いです。


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