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カリフォルニア州のAI規制(2024年8月)
世界中で議論されているAI規制に関して、アメリカの連邦法は未だ成立への見通しが立っていませんが、カリフォルニア州では州法成立に向けた具体的な動きがあります。
個人的には、プライバシー法制と同様に米国州法が乱立することは避けてもらいたいと思いますが、成立してしまうのであれば仕方ありません。2024年8月31日時点のカリフォルニア州のAI規制について、報道されている情報を中心に簡単にまとめてみました。
カリフォルニア州で審議中のAI規制
カリフォルニア州におけるAI規制法案は一つではなく、複数の法案が審議されているようです。それらは分野別/横断規制、企業に義務付ける内容等によって分かれており、Big Techの反応も様々です、(以下のIAPPの記事参照)
それらの中でも主なものが「SB1047」と「AB3211」の2つです。日本の新聞記事等ではどちらの法案の話であるかが特に言及されていないケースも多いですが、どちらの法案に関する記事であるかについては注意が必要と思います。
SB1047 (Safe and Secure Innovation for Frontier Artificial Intelligence Models Act)
法案の主な内容は、一定規模以上のAIモデル開発に関して、安全性テストの実施や緊急時に安全にAIシステムを停止させる緊急停止機能(キルスイッチ)の実装等を義務付けるものです。
AI分野で著名なジェフリー・ヒントン氏とヨシュア・ベンジオ氏、イーロン・マスク氏はこの法案を支持している一方で、Googleの親会社であるAlphabet、OpenAI、Metaは懸念を表明しているとされています。
現在のステータスについては、2024年8月28日に下院で、同29日に上院でそれぞれ可決されたため、残る手続きは州知事の署名のみです。州知事は1か月以内に署名または拒否権行使を行うため、州知事の判断に注目が集まります。
カリフォルニア州のページはこちらです。
日本語の詳しい解説記事としては以下がおすすめです。(有料記事です)
AB3211 (California Digital Content Provenance Standards)
法案の主な内容は、生成AIの提供企業に対して、生成物に電子透かし(Watermarks)を入れること、当該生成AIサービスの脆弱性に関するリスクアセスメントと報告を実施すること等を義務付けるものです。
企業の反応は先のSB1047とは対照的で、イーロン・マスク氏だけでなくOpenAIやMicrosoft、AWSといった企業が賛同しているとされています。
現在のステータスは、既に下院を通過しており、上院で審議予定です。SB1米国時間の8月31日までに上院を通過すれば、SB1047とほぼ同じスケジュールで州知事の署名を待つこととなります。→(2024年9月2日追記:今会期中の成立は見送られました。)
カリフォルニア州のページはこちらです。
おわりに
現在主だって報道されているのは以上2つの法案ですが、今後もその他の法案が成立する可能性もありますので、引き続きウォッチしていこうと思います。(その前に連邦法が成立して、州法乱立の流れが止まることを祈りながら…)