AI Governance Professional Exam
IAPP (International Association of Privacy Professionals:国際プライバシー専門家協会) が用意しているCertification Programとして、Artificial Intelligence Governance Professional (AIGP) というものがあります。2024年7月時点では、あまり他にない「AIガバナンス」に関するCertificationです。
先日Examに無事に合格することができましたので、試験対策についての情報を書き残しておきたいと思います。
(ちなみに私は1回目で不合格になり、2回目でようやく合格できました。私はIAPPのCertificationを初めて受験しましたが、それなりの準備が必要だなという感覚でしたので、同じ轍を踏む方が少しでも減るように、という願いも込めて書いています・・・!)
試験概要
合格水準
試験当日は100問(択一)を2時間45分で解き、Scaling Scoreで500点満点中300点以上で合格となります。
一見、単純計算で正答率60%で良いようにも思いますが、実際のところは70%程度の正答率がないとScalingで300点に届かないと思います。(私が受験後に受け取った結果からの推測です。)
受験当日
試験の運営についてはIAPPからPearsonに委託されており、(1)テストセンター受験、(2)自宅でのオンライン受験のいずれかを選ぶことができます。私は2回ともオンライン受験をしましたが、日本時間で土日の日中帯は選択肢が少なめですので、早めの日程確認・申し込みをおすすめします。(IAPPのサイト上でExamを購入すると申し込みをできるようになります。)
試験対策教材
Body of Knowledge
Examで問われる範囲などの情報は以下のBody of Knowledgeに記載があります。当然ではありますが、これを見るだけでは試験範囲が把握できるだけですので、別途何らかの学習が必要です。
https://iapp.org/certify/body-of-knowledge-aigp/
オンライントレーニング
私はIAPPが用意しているオンライントレーニングを受講しました。詳しくは以下の別記事にまとめています。Body of Knowledgeにも触れながら、一通りの知識をインプットできます。
Practice Exam
こちらもIAPPが別途$60で提供している練習問題集です。正直なところ「100問のみでこの金額か…」と思ってしまいますが、他に信頼できる教材もありませんので、過去問と思って諦めて買うことをおすすめします。
私の試験結果
1回目
私はオンライントレーニング受講後に、IAPPのサイトに掲載されているSample Questions(5問)を確認したところ、あまり迷いなく正答肢を選べましたので、「あ、これは大丈夫そう」と安易に考えてしまい、結果として難易度を読み誤りました。
オンライントレーニングの内容について簡単に振り返ったうえで受験したところ、271点でFail(不合格)でした。受験後に分野別の正答率を教えてくれるのですが、私のバックグラウンド(法務)もあり、法規制に関する分野の正答率は高い一方で、機械学習やAIシステムの開発過程に関する分野については正答率が低い傾向がありました。ちなみに全体の正答率としては60%を少し上回っている程度でした。
2回目
不合格の結果を受けて、改めてしっかりとした準備をすることにしました。Body of Knowledgeを改めて見直すと、オンライントレーニングで言及されていない内容もBody of Knowledgeに記載がありました。Body of Knowledgeについても、いくつかのパートは目次だけでなくその内容に踏み込んでいる部分があり、それを理解・記憶しておく必要もありました。
また問題演習をしながら知識定着を図るために、Practice Examを購入しました。100問しかありませんが、これしか頼れる問題がありませんので仕方ありません。ただ、いわゆる公式問題集になりますので、試験当日の問題と難易度が近く、オンライントレーニングに記載がなくとも問われうるものが含まれています。私はPractice Examを通じて学習すべき範囲を正しく理解でき、追加での学習につなげることができました。この$60を惜しまないことが、再受験費用を節約することにつながると思います。
その結果として331点で合格することができました。全体の正答率としては75%程度でした。
対策方法のおすすめ
以上の私の経験からですが、最初からPractice Examを購入して学習することをおすすめします。教材といえるようなものが少ない中で、唯一頼りにできるものだと思います。
また、特に法務系のバックグラウンドをお持ちの方は、AIの基礎、AI Development Lifecycleあたりの知識をしっかりとインプットしておくことが、合格への近道と思います。(私が初回受験までにできなかったことです)
最後に
試験内容についてはAIガバナンス関連動向の変化に応じてアップデートされていくことになっていますし、動向が激しいAIガバナンス関連について、体系的に理解する・頭の中を整理する、ということに適している試験だと思います。
今のところあまり日本ではポピュラーではないと思いますが、日本でもより多くの人に受けて頂けると良いなと思います。その際にこの記事が少しでも参考になれば幸いです。