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AI×法務のおすすめ書籍

ChatGPTを含む生成系AI(Generative-AI)が盛り上がりを見せておりますが、自社への導入などにあたっては、法務の目線から見ると個人情報・著作権あたりが気になる観点になるかと思います。

一方で、生成系AIに限らず、AI・データ活用については既に議論されている論点が多くありますので、そういったものをカバーしておくものも重要かと思います。

そこで本記事では法務担当者目線で見るAI関連のおすすめ書籍を紹介します。

※変化・進展の激しい分野でもありますので、今後も良い書籍があれば随時追記していこうと考えています。
【2023/10/28 生成AIの法的リスクと対策、ゼロからわかる生成AI法律入門を追記しました。】
【2023/06/25 ChatGPTの法律を追記しました。】


生成AI

生成AIの法的リスクと対策

生成AIの利用場面ごと(開発段階、学習段階、利用段階等)に分けて、論点の網羅性も確保しながら解説をしてくれています。個人的にはコラムの内容も興味深く読ませてもらいました。生成AIの開発者だけでなく、ユーザーとしても携えておきたい一冊かと思います。


ゼロからわかる 生成AI法律入門

こちらは法令ベースで解説を加えてくれています。入門と銘打っているだけあって、読みやすさにも配慮がされている印象です。よりとっつきやすい書籍かなと思います。
一つ上のものと比べたときに、片方には記載があるけどもう片方には記載がない、というものもありますので、両方持っておくのが論点の網羅性という意味では安心かなと思いました。


Chat GPTの法律

この分野は多くのその道のプロが無償で情報提供してくださっているので論点カバーならブログや無料セミナーでも代替できますが、書籍としてまとまっていることに価値があると感じました。手っ取り早くある程度網羅的にキャッチアップするには最適の書籍と思います。

生成AIのモデル開発者も、組み込みサービスの提供者も、ユーザーとして利用する者も、ステークホルダー間で留意すべき観点についての共通認識が持てるといいなぁと思うので、多くの人に持っていてほしい本です。

ちなみに、執筆者が多いので(章ごとに執筆者が異なるので)、章をまたいでの重複した記載もそれなりに見られますが、執筆から出版までのスピードアップを図るために執筆者を増やしたのだと推測しています。変化が速い分野ですので、できるだけ早く出版することに意味がありますし、スピードを優先したということで個人的には納得です。


AI倫理

AI・データ倫理の教科書

 オススメ度は★5つです。法務に限らず多くの人に読んでもらいたいと思える本です。

構成としては前半は著者によるAI倫理に関する充実した記載、後半は4社(SONY、日本マイクロソフト、メルカリ、富士通)の事例が各社から紹介される形になっています。

前半ではAI倫理における考え方の枠組み、これまでの問題事例のカテゴライズ・分析がなされており、個別のAI利用プロジェクトを支援するうえで非常に有益です。なんとなく曖昧な「AI倫理」を検討するにあたって、枠組み・問題事例が理解できていると、問題点や対応策の解像度が上がります。

また各国のAI規制(ガイドライン等)についても共通点を整理しながら内容についての解説がなされており、種々存在するガイドライン等の理解の参考になります。AI関連規制は今後国際的な議論が進んでいくことが想定されますが、それを理解するための助けにもなると思います。


責任あるAI: 「AI倫理」戦略ハンドブック

この本もAI倫理について整理をしていますが、先に紹介した本よりは少し技術よりの記載が多く見受けられます。AI利用・データ活用において、なぜ倫理的課題が発生してしまうのかを丁寧に解説してくれており、倫理的問題が生じるメカニズムを理解するのに役立ちます。

法務目線ですと、どうしても契約やそれに付随するパブリックリレーションズ/広報などの、技術やサービスの"外側"での対応策を検討しがちですが、そもそも技術が内在している課題を理解することで、根本的な解決策の提案・議論もできるようになるのではないかと思います。また技術に対する十分な理解は、法務としてプロジェクト支援を行う上でも必要不可欠ですので、その意味でも有用です。

Q&A AIの法務と倫理

さらに技術よりの解説があるのがこちら。冒頭100pぐらいで非常に丁寧に、かつ法務目線で知っておくべき技術的内容が整理されている点が類書にはない素晴らしいポイントです。図なども多用されていて説明もわかりやすいと感じました。

またAI倫理の問題への対応策も様々な視点からオプションが提示されていて参考になります。対処策を考えるときにまず参照してみる、という使い方ができそうなので携えておきたい一冊としてオススメです。


AI・データビジネスの契約

 AI・データビジネスの契約実務〔第2版〕

契約実務をするうえで必携かと思います。

経済産業省が公開しているAI・データの利用に関する契約ガイドライン(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/connected_industries/sharing_and_utilization.html)の策定に携わられた方々による解説で、2022年12月に第2版が出されています。

カバーされている契約類型が以下の通り多く、該当する契約作成・審査においては役に立つ場面が多いかと思います。
・データ利用許諾契約(機密保持含む)
・ソフトウェア開発・保守契約
・クラウドサービス利用契約
・プライバシーポリシー
・プラットフォーム型契約
・ハッカソン型契約


AIの法律全般

AIの法律

カバー範囲も記述内容もかなりの充実度だと思います。

第1編でAIの基本知識をおさらいしたうえで、第2編では知的財産権、AIに関する責任、AIの契約の効力、刑事法と幅広に扱っています。その上で第3編ではシステム開発、個人情報・プライバシー、競争法、労働法、金融法、保険、サイバーセキュリティとカバーしている分野がかなり広くなっています。さらには最終章で倫理についても解説されています。

書籍全体で500ページ近いボリュームで、内容も濃いので、通読するのは相当にエネルギーが必要だと思います。実際のところ、私は通読を諦め、興味のある分野だけつまみ読みをしました。

とりあえず買っておいて業務で必要になった部分だけ読む、というのもありかと思います。


おまけ(個人情報関連)

よくわかるパーソナルデータの教科書

AI・データ活用と密接な関わりがある個人情報・プライバシーについて、こちらが非常におすすめですのでおまけで紹介です。

技術的な部分も含めて非常にわかりやすく紹介されています。匿名化・仮名化といった個人情報保護法でも出てくる言葉が、具体的にどういう処理を加えればそれに該当すると言えるのか、といったあたりが理解できる良書です。

法制度についても分かり易く解説されていますので、法務関連の方だけでなくエンジニアのみなさまにもオススメできる本かと思います。プライバシー専門部門などがあればその部員全員が読むと良いのでは、と思える本でした。



以上です。

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最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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