この企画および本稿タイトルは、noruniru様のフォーマットを拝借し作文したものです。
※本文は『芥川龍之介著作集 第四巻』(岩波書店)を適宜参照しつつ、一部読みやすいよう手をいれながら、原則青空文庫より引用しています。
※※以下、本作品の重要なネタバレを含みます。その旨ご了解の上、続きをお読ください。
*
主人公は「私」ということね、しかし旧友なのに「村上」て名字で呼ぶのか、よそよそしいな。
「千枝子」というのが村上の妹の名前なのか。兄の友人にも気を遣える、いい妹だな。
妹はメンタル弱い人なのか?主人公も知らずに気軽に訊いてしまっているが。神経衰弱、つまり今でいう鬱とか精神疾患のたぐいだろうに。
「妙な話」?―――って思わず主人公と同じ言葉が口から出たが、ずいぶん意味深な言い方だな。
「まだ話さなかったかしら」なんてワザとらしい言い方しながら、しっかり腰を据えて話そうとしている旧友の村上。
千枝子さんの夫、もしかしてエリートなのだろうか?夫が戦争に出ているとは、それは気が気ではなかろう。
それはたしかに、不安にもなるだろう。
まだ新婚なのか、時代が時代とはいえそれは気の毒すぎる。
神経衰弱などと言っていたが、自分で遊びに出かけられるくらいの元気はあるのか。しかし、もしかして千枝子さんもそこそこの学校出てたりするのだろうか?お嬢様である可能性も?
やはりお嬢様な予感。わがままで無計画なおてんばタイプだったりして。
はい、頑固で逆切れするタイプでした。
事によるとって、いつ帰るかくらいはちゃんと伝えて出ないと、携帯電話もない時代だというのに。しかも、なぜかずぶ濡れで引き返してくるなんて。それでは風邪をひきにいったようなものだ。やはり無計画な方なのだろうか。
傘持っていたのに、なぜ。妹の謎行動に、早くもミステリーを感じる。
さあ来ました、ミステリー。話を訊こうか。
村上さん、ちょいちょい回りくどい言い方しますね。
はて、海沿いを走る電車なのか?
神保町とは、今も当時も神田、ですよね・・・海とは?
うーん、どう考えても普通ではない予感。幻覚か白日夢でも見ていたのだろうか?
赤帽というのは、客の荷物を運んだりしてくれる駅員のこと。駅にいるのだから、駅員がいるのは当たり前であるはずだが。
?! 妹夫婦のことを、なぜただの駅員が知っているのか?
あまりに自然に話しかけられたから、素直に受け取ってしまった、ということか?
だから、なぜ夫のことをこの赤帽が知っているのか??
千枝子さん、ようやくその異常さに気づく。ぼんやりしすぎでは。やはり正気ではなかったのだろう。
あっ、待てっ!!
逃げられたか、結局この赤帽とは、いったい何者なのか??まさか、幽霊や妖怪などではあるまいか?
何だか、語り方が都市伝説じみてきたな。それとも夫婦が、スパイか闇の組織かの監視対象にでもされているというのか?
なるほど、引き返してきた理由はわかった。わからないのは赤帽とやらの正体だが・・・
お兄さん、妹の言うこと全然信じていないのか。少しくらい心配してやってほしい。
千枝子さん、いよいよ錯乱してきたか。しかし心細さと不安とを考えれば無理もないか・・・
祟りって、何て言い草だ。ヒドい村上兄。
兄さんが赤帽のこと信じてあげなかったからではないのか?
もう完全にトラウマになってしまっているじゃないか。滑稽どころではない。
ひと月もかかったというのに、そっけない言い方する兄。
ずいぶん落ち着いたようで、千枝子さんも自分から赤帽のことを話せるようになった様子。よかった、よかった。ちなみに鏡花とは、怪奇小説などを得意とした作家「泉鏡花」のことか。
まだ終わりじゃなかったー!
千枝子さん、完全に停車場恐怖症になってしまった。ところで主人公と千枝子さんとはどの程度面識があったのだろう。それと、私が朝鮮に行くのは職務としてかな?主人公も軍人か、公務員あたりなのだろうか。
村上の話は、時系列が行ったり来たりしてややこしいな。二度目の赤帽遭遇の話の続きをするのだな。
村上、自分で見てきたかのようにしゃべるな。
赤帽登場!!・・・いや、ただの赤い帽子をかぶった男かもしれない。
千枝子さん、いやな記憶がよみがえったわけだ。でも引き返さなかったようだが、その判断がよかったのか、悪かったのか・・・
杞憂、といいたいとこだが、さっきの村上の言い方だと、結局赤帽に出くわすわけだ。では、果たしてどこで?
赤帽きたっ!右腕に怪我・・・?まさか千枝子さんの夫に本当に会ってきたというのか??・・・どういうこと??
またも姿を見せず・・・やはり人間とは思えない、怪しすぎる・・・
いやいや、その解釈は絶対おかしいだろう!赤帽いなくてよかった、なんてことにはならないだろさすがに!
そらきたー!無視しようとしてもダメだよとばかりに、いないはずの赤帽が話しかけてきたに違いない!・・・しかしなぜ海外にいる夫のことが分かるというのか!?
赤帽は、透明になれたり瞬間移動できたりするというのか??
これは・・・ヤツなのか?
怪しすぎる!!!ヤツに違いないだろう、これは!!
千枝子さんも、これには完全にトラウマ再発だろう。まったく恐怖でしかない。
これは、もしかして見間違いという可能性もある?
やはり幻覚か何かだろうか?でなければ、これはもう人間以外の存在に違いない。
やはりこの村上の都市伝説ぽい話し方が気になって仕方ない。何なんだこの語り手は。
つまり、赤帽が言っていたことは正しかった。・・・彼は本当に地中海まで行って戻ってきたというのか、それとも・・・?
姉さんまで赤帽のこと信じてないのかー!神経衰弱だっいうのに、ひやかしてる場合ではないだろう。
いや待ってくれ、夫が帰ってきて千枝子さんは落ち着いたという話ではなかったのか?
またしても中央停車場。でもここでは変わった様子はないな。
えっ、どうした?夫の顔見知りだったか?
フランスのマルセイユに?日本人の赤帽が?
なんか千枝子さんのときと同じパターンなんだが・・・しかしこの赤帽が千枝子さんが会ったの赤帽なのだとすると、本当に夫婦の伝達役を彼がしていたということに?
気が付くと消えているというところも、中央停車場のあいつと同じ・・・やはりヤツなのか?だとしたらどうやって移動しているのか、いや、それよりなんのために?
起こった事態だけ考えると、たしかに夢か幻覚かと思っても仕方がないとは思うが、はたして。
まあ、そんな話誰にもできないよな、自分自身でもわけのわからないような話を。
遠く離れた夫婦が、同じ体験をしていた。まったく不思議な体験だし、にわかには信じがたいことではあるが、嘘をつく道理もない。
そう、怪談じみていて現実に受け入れがたい話である。そして何か実害があったわけでなし、人に話せなかったのも頷ける。
夢か現かわからないから、ここは気にしないことにしようと決めたところに、赤帽が現れたと。まるで忘れさせないかのように。まったく、彼は本当に何者なのか・・・
何度も言うが、こういうところが都市伝説みたいなんだよ、村上。そうだ、忘れそうになるが、この話は村上が語り手なんだった。
彼というのは村上のことか。ということは、主人公の私とこの友人たちとは直接の面識はないということか。不自然に急に割り込んできて、何だろう。
久しぶりに喋ったな、主人公。千枝子さんの話はもう終わりでいいのか?話の続きとか赤帽の正体とか、気にならないのか?
うん?どうした?さっきまでのことで、なにか気になることでもあったのか?
・・・え?!ちょとそれは、どういうこと??・・・そういうこと???
*
衝撃の結末。これには再読必須である。
―――全文ツッコミ「二周目」につづく。
noruniru様の投稿