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【MBTI】「タイプ擬装」と就活

「擬装推奨」が引き起こす問題
16タイプと仕事適性のギャップ


最近では多少マシになってきているようだが、現代までの就職活動や就活の指導の味方を16タイプで考えると、すでに「採用に有利な性格タイプ」に画一化しようとする側面がある。
すなわち現代までの就活では、企業が求める『理想の人物像』に合わせて、求職者が自分の特性を16タイプの枠を超えて装う『タイプ擬装』が常態化していた状況であった。
例えば就活で有利を得るために、内向的なINFPやISTJが外向的で積極的な姿勢を装ったり、直感的なENFPやINFJが細かく現実的なアピールをしていたわけである。
就活マニュアルや就活指導とは、いわば「擬装」を推奨していたとも言えるだろう。多くの企業や就活指導が、社交性や積極性、リーダーシップ、協調性といった一部の資質を理想として求めるため、これに合わせて自己表現や行動を装うことが一般的になっていた。

現代までの就活における「性格タイプ擬装」とその特徴
1. 社交性・積極性の強調

特に外向的で積極的な姿勢が重視される傾向がある。例えば、エントリーシートや面接での自己PRにおいて、「主体的に行動したエピソード」「リーダー経験」などが求められることが多くなれば、これが求職者に外向性やリーダーシップを装わせる、装いたがる要因になっているのではないか。

2. 協調性・適応力の強調
企業の多くがチームワークや柔軟性を求める場合、指導が「協調性アリ」「周囲に適応できる」といった自己表現を推奨するだろう。このため、協調性が目立つようなエピソードを挙げたり、適応力をアピールする形で自己紹介を装う傾向が見られる。

3. エントリーシートや面接のテンプレート化
「好印象を与えるためのフレーズ」や「望ましい話し方」などが対策され指導されるため、だいたいの求職者が似たような内容や表現で自己PRを行うことになりうる。このため、本来の個性が隠れてしまい、企業側にとっても求職者が実際に持つ資質が分かりにくくなる危険性がある。

この「タイプ擬装」がもたらす影響を考える。

求人求職ミスマッチの増加

採用の段階で、企業が望む「理想的なタイプ」に合わせたタイプ擬装を求職者が行うため、入社後にそのギャップからズレが生じる。特に内向的で慎重なタイプが、求められる社交性や積極性を装った結果、入社後に違和感を感じる等である。
例えばENFPが初任給の高さなどに釣られて「リーダーシップあり、計画性が高い」など擬装し就活をすり抜けてしまい、入社後も擬装し続けてたら後々悲惨だろう。

さらに飛躍して考えると、色々と話題になる「氷河期世代」の就活当時の求人状況は、企業の選考基準の厳格化が著しく採用数も凄まじく少ない上に、企業は「即戦力」を求める傾向が強まっていた。新卒に対してすら実務経験や高いスキルが期待され、他の世代と比べて選考基準が厳しく、内定獲得までの道が険しかった。このような背景から、無数の「性格タイプ擬装」が行われたことであろう。
「トン○鉛筆事件」や「や○や事件」が話題になった時期を考えると、この流れは少なくとも2010年代初期までは続いていると思われる。

本来の強みが見えづらくなる
画一化されたテンプレートや自己PRによって、求職者の個別の強みや、異なる価値観が見えにくくなる。企業も採用基準が狭まり、同じようなタイプばかりが集まることで、組織内の多様性が失われる恐れがある。

自己理解の遅延
学生が「企業に合わせるための自己表現」を習慣化すると、自己理解が遅れたり、自分の本来のタイプや価値観、興味を見失うことがあるだろう。特に長期的なキャリア選択において、無意識に自分のタイプを擬装することで、後に大きな違和感やキャリアの迷走を招く危険性も考えられるが、年齢を重ね気づいた頃には後の祭りであろう。

今後の改善の可能性
近年、一部の企業や教育機関では「画一化の自己PR」ではなく、個人の強みや特性の違いを尊重した選考方法が模索されているようである。企業側も多様な人材の可能性に目を向けるようになり、固定観念を排除して、多様なタイプに適した評価方法を導入する動きがみえる。

現代までの就活は、まさに「有利なタイプ」に装うことが暗に奨励されていたため、結果的に多くの求職者が擬装をしていたと言えるだろう。この風潮が変わり、個々のタイプの違いが尊重される採用の一般化が進めば、本来の適性や強みが発揮しやすい環境が実現することが期待される。

しかしながら就活、求人においてタイプの違いにフォーカスした場合、生じるであろうリスクも多々考えられる。
また別記事にて言及しようと思う。

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