見出し画像

【MBTI】16タイプで見る逆襲のシャア〜閃光のハサウェイの流れ【ネタバレ有】

機動戦士ガンダム逆襲のシャアの劇中のアムロ・レイの台詞
「世直しのことを知らないんだな、
革命はいつもインテリが始めるが夢みたいな目標をもってやるから、いつも過激なことしかやらない。しかし、革命の後では気高い革命の心 だって官僚主義と大衆に呑み込まれていくから
インテリはそれを嫌って世間からも政治からも身を引いて世捨て人になる だったら・・・」

台詞の一部



このセリフを
インテリをNT(orNF)タイプ
官僚主義「SJタイプ」
大衆「SPタイプ」
と解釈すると面白い。

インテリ(NT、NFタイプ)は、革新的なビジョンや理想を持つ傾向があり、未来や理念に基づいた行動理念を持つ。彼らの考え方は個性的で理論的、または倫理的な側面が強く、社会に理想的な変革を求めることが多い。

官僚主義(SJタイプ)は、安定と秩序を重視する傾向があり、既存のシステムを維持することに適性を持つ。彼らは変化に対して慎重で、実際の社会制度を整え、確実に機能させる役割を担う。革命後の「官僚主義」に飲み込まれる部分として、理想が現実の管理体制に吸収される象徴といえよう。

大衆(SPタイプ)は、自由で今この瞬間を楽しむことに重きを置く。彼らは変革や秩序に直接的な関心が薄く、実利的かつ現実主義的な立場から社会と関わることが多い。

この解釈は、セリフに込められたメッセージやタイプの一般的な特徴にあらかた合致している。

続編「閃光のハサウェイ」
逆襲のシャアの約10年後が舞台である「閃光のハサウェイ」のストーリーを「逆襲のシャア」のこのセリフに重ね合わせる解釈は、界隈ではわりと知られている(と思う)。
ハサウェイ・ノアの行動や心理は、まさに理想と現実の間で揺れ動くNタイプ(NFタイプに特に近い)の葛藤が現れている。

革命の理想と現実の摩擦
ハサウェイは理想を抱いて行動を起こすものの、その理想が現実に直面することで妥協を迫られたり、限界を感じていく。マフティーとして反地球連邦政府活動を進めていくが、現実の中で理想が必ずしも実現できない苦しみと対峙する。彼の行動が過激になるのも、「夢みたいな目標を持って」いても、それを現実の社会に適用するには極端な手段を取らざるを得ないという、セリフ通りの展開である。

理想の挫折と孤立
革命や改革を求めて戦うものの、ハサウェイはじわじわと孤立していく。理想を貫こうとする彼にとって、彼が望んだ社会の変革が実現する可能性が薄れていくと、ますます鬱屈した生気のない状態となってゆく。

世捨て人としての結末
理想に固執したハサウェイの行き着く先は、物理的にも精神的にも現実社会や人々とのつながりが失われていく。最終的に彼は孤独に、文字通り世間から切り離される形で物語が終了する。
「インテリが世間からも政治からも身を引いて世捨て人になる」というセリフが、そのまま彼の運命に反映されているとも解釈

官僚主義の象徴として、また友人としての二面性を持つケネス・スレッグ大佐
ハサウェイのライバルで友人でもあるケネスは官僚主義の象徴という役割と、ハサウェイを現実へ繋ぎ止める友人という相反する役割を持つところが魅力だと思うが、ここでは「軍人」としてのケネスをみていく。

1. ケネスの秩序と権力への忠誠心
ケネスは、地球連邦の官僚的な体制に従い、組織内での秩序や命令を重視する。彼は組織内での立場を守りつつ、状況に応じて合理的な判断を下すが、手段は多少荒っぽくともそもそもの判断は保守的で、組織の体制やルールを優先する。この姿勢は、「逆襲のシャア」における「革命の後では気高い革命の心 だって官僚主義と大衆に呑み込まれていく」というセリフに表現されている官僚主義に通じるものがある。

2. ハサウェイとの対立するケネス
ケネスは、マフティーとして反連邦活動を行うハサウェイのような理想主義者と対照的に描かれる。ハサウェイの革命的なビジョンに対して、ケネスはあくまで秩序維持の観点から対処し、ハサウェイを危険分子とみなす姿勢を取る。これは、革新を求める理想主義者(Nタイプ)に対し、現状維持を図る官僚主義(SJタイプ)が対立する構図に重なる。

3. ギギとの関係から見る現実主義的なケネス
ケネスはギギ・アンダルシアに対しても、理想や精神的なつながりを求めるハサウェイとは異なり、現実的かつ戦略的な態度で接する。このアプローチには、感情や理想ではなく、現実を踏まえた行動を取る官僚的な合理主義が感じられる。

ギギに対しても終始現実的で明確なコミュニケーションをとるケネス
対してハサウェイとギギとのコミュニケーションはだいたい以下のようなNF全開な展開となっている。

ハサウェイ「でもさ、近代の個性の時代といわれていた時代にこそ、人類は、消費拡大をして、その商業主義が、地球まで殺したんだ……人類ひとりびとりに自由を、という思潮が残っているかぎり、人類はスペース・コロニーをつくったって、地球を食いつくしてしまうんだ」

ギギ「それは、家庭という小さい平和も否定することだよ?」

ハサウェイ「まっとうき全体というものに人類が収斂されなければ、地球は存続できない時代になってしまったんだ。それは、思い出して欲しいな……」

ギギ「人類がすべて解脱して、良き集合体になるなんて、そりゃ、ニュータイプの集団だわ」

ハサウェイ「そうだよ」

ギギ「……そんなの、セックスだってなくなっちゃう」

ハサウェイ「そうかな。そういう行為だって、本当は、透徹したものを目指すためのものになったはずなんだ……」

ギギ「冗談?」

ハサウェイ「ちがうよ。オーガズムだって、快感というよりも、その行為の向こうにあるなにかを認識することができると思うな……。そうでなければ、インテリジェンスを発達させた人間が、セックスするなんて、恥かしいことだよ」

〜筆者はINFP同士の会話という解釈である〜

小説『閃光のハサウェイ』より

4. システムの一部としての冷静さを持つケネス
ケネスは、地球連邦の腐敗や矛盾に対しても、ある程度容認するような態度を見せ、システムの一部として行動する。この姿勢は、腐敗してもなお維持される組織の権力構造や官僚主義の側面を象徴しているといえる。

さて、次に各キャラクターに性格タイプを当てはめて動機、物語の展開をまとめていこう。
特に、シャア、アムロ、ハサウェイ、ケネスそれぞれの性格タイプが、ストーリーやテーマにどのように影響を与えているかを明確化する。



1. シャア(INTJ)と地球寒冷化作戦
人類に絶望した(と言っている)シャアは、INTJらしく人類を新たなステージへ導くために計画的かつ過激な「地球寒冷化作戦」を発案し、地球の変革を目指す。が、その動機には、人類全体への冷淡さやアムロに対する私怨、過去に別れた女性に対しての執着も多分に絡んでおり、理想と個人的な感情が交錯している。アプローチは理論的かつ独自だが、思い上がり(敵に最新技術をわざと流したり)と人の気持ちの力、現実的な抵抗に阻まれ、最終的には失敗する。

2. 続編「閃光のハサウェイ」における、ハサウェイ・ノア(INFP)の葛藤とマフティー動乱
若き日にシャアやアムロの革命的な姿を目の当たりにしたハサウェイは、約10年の後に自らの理想を実現するために「マフティー・ナビーユ・エリン」として出自を隠し、地球連邦への反抗を始める。INFPと思われるハサウェイは、シャアの理想を受け継ごうとしながらも、自身の内面の感情と倫理観の間で葛藤し、理想と現実に引き裂かれるように動いていく。彼はシャアとは異なり、感情や人間関係にも敏感であり、その複雑な内面が理想の達成を阻む一因となっていく。最終的に迷走し追い詰められていく。まさにINFPの理想主義と感情の揺れが物語の要となっているようにみえる。

3. ケネス(ESTJ)の官僚主義の勝利と、友人としての敗北(Fi)
ケネスは、地球連邦の軍人として官僚主義の象徴的な存在だ。彼は秩序と権力を重視し、組織のルールに従いながらも、友人としてのハサウェイの正体に気づきながら複雑な思いを抱く。最終的に、ケネスは軍の命令に従いハサウェイの処刑を執行するが、彼の友人として、その死後もハサウェイが大衆のプロパガンダに利用される流れを未然に防ごうとする。しかしそれはふとした事から失敗する。彼は秩序維持とFi的な個人の感情の狭間での葛藤し、そして最終的には官僚的体制に嫌気が差して退役することとなる。ESTJの秩序志向と官僚主義の対立が象徴的である。

「逆襲のシャア」から「閃光のハサウェイ」への流れとして、理想主義者(Nタイプ)が官僚主義(SJタイプ)に屈する過程、そして舞台の歴史のその後を考えると大衆の力(SP)に飲み込まれ忘れ去られていく様が反映されている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?