アフリカで「日本人だい!」とドヤ顔したくなる時
マンボ!
タンザニア在住ライターのほりとも(@tmk_255)です。
タンザニアで外国人として生活していると、いたるところで、「私は日本人だい!」と主張したくなることがあります。これは年齢とともに深まる母国への愛国心なのか、「なめられてはいかん!」と感じる自分なりの自己防衛からなのか、はたまたタンザニアという場所柄なのか。
今日は、タンザニアの生活で、日本人だと主張してしまった私の最近の体験をご紹介。ぜひ、大人げない私のどや顔を、くすっと笑ってやってください。
SUSHI
あとから思い出して、「私めちゃくちゃ、ドヤ顔してたよな」と恥ずかしくなったのは、ある日の魚屋さんでのこと。
夕飯に鉄火巻でも作ろうと、お店にまぐろを買いに行きました。レジでの店員さんとのやりとり。
「あら、ツナ、おいしいよね~。もしかして寿司シェフをお探しかしら?」
「いいえ結構。私は日本人です。自分で寿司は作れますっ!」
このお店では、シェフの出張寿司サービスなるものを提供しているようなのですが、寿司と言われて「私は日本人ですから、タンザニアの人に作ってもらわなくても、ホンモノを自分で作れます!」と、反射的に返してしまいました。
次にこのお店に行った時に、また同じことを言われました。前回はちょっと大人げなかったなと反省した私なのにまた「日本人なので自分で作れます」と伝えてしまった。すると、お店の人が、こうつぶやくのです。
「ここに来る日本人は、みんなあなたと同じことを言う。日本人だって、たまには、うちのサービスも使ってくれればいいのに~」。
「日本人ですから寿司は自分で作れます」と言い返しているのが、私だけではなかったのか!と少し安堵した瞬間です。
「ニーハオ!」はすぐさま訂正
これも、海外に住む日本人によくあることかもしれません。中国人と間違われたら、1秒以内に「違います、私は日本人!」と訂正してしまうところ。
国によっては「中国人=アジア人」という理解で言っている人もいるようです。悪気がなくて言っている人もいます。それがわかっていても、私は中国人と間違われていると思うと、必ず「日本からきた日本人です」と訂正したくなります。スワヒリ語で私が最初に学んだフレーズのひとつは「私は中国人ではありません」。
他の国と同じくタンザニアでも、「日本」といえば「すばらしいクオリティの車や商品」が認知されています。だから「日本人だ」というと、タンザニア人の反応も、一目置いたように変わります。
「おい、中国人!(ちょっと失礼な感じ)」
「中国人じゃない、日本人だ。」
「おおー、日本人なのか~!(ちょっと見直した感じの目線)」
日本人だとわかったとたん、タンザニアの人が私を見るまなざしに少しのリスペクトが含まれたように感じるのは、私の気のせいではないはず…。
イ・キ・ガ・イ
海外で生活していると「え、そんな言葉が日本の外に広まっているのね」と感動することがあります。
ある時、タンザニアの友達から「キンツギ(金継ぎ)っていうアジアの文化知ってる?」と聞かれて、「うん、それアジアというか私の国、日本の文化だよ」と訂正してしまいました。
またある時は、「職場のトレーニングでカイゼン(改善)という考え方を学んだよ。日本語っぽいけど、もしかしてこの言葉を知ってる?」というタンザニア人の友達に「それはまさに日本語ね!」と、カイゼンの意味を意気揚々と伝えました。
ある日の読書会では「今読んでいる本に、イキガイという言葉が出てくるんだけど、これは日本語であってるのかしら?」と聞かれました。そんな時は、改めて「いきがい」という響きの美しさをかみしめながら、日本人がどういう時に「生きがい」という言葉を使うか、考えながら自分なりに説明してみました。
どれもこれも、きっと私はドヤ顔で「それは日本の文化、言葉なんだよ」と得意げに話していたと思います。
こうやって、日本の言葉が、世界で広まり、日本のものへの考え方や、日本らしい独自の精神が、世界の人にも知ってもらえるのは、とてもうれしいんです。だから、海外に住む私は、自然にその日本の代表者としてドヤ顔になってしまうんです。
おわりに
20代の頃に海外生活をした時には、外国の文化や言葉に惚れこみ、私もこの国の人のようになりたい、なんて考えていました。
40代の今は、日本の素晴らしいところも、変わっていけば良いのにと思うところも、以前よりも客観的に見ることができるようになりました。
日本に住む友達からは「日本人は国全体で自信を失っている気がする」「日本は海外でどんな風に見られているのか不安」なんていう声も聞きます。でも、私は外国で年を重ねながら、「アジア人」でも「中国人」でもなく「日本人」であることを堂々と前面に出してこれからも生きていきたい。
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