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アフリカの女性はなぜ頭でモノを運ぶのか?
タンザニアでの生活で「アフリカらしいな~」と感じるのは、女性が頭にモノをのせて歩いているのを町のあちこちで見る時です。カラフルなアフリカ布に身をまとい、バナナやマンゴの果物いっぱいのバケツを頭にのせて歩いている女性たち。
「素敵だな~」「すごいな」と思うと同時に、日本人としては「なぜ?」という疑問がわいてきます。
タンザニアの人に聞いたところ、これは『タンザニアが抱えるいくつの課題』を象徴する姿なんだそうです。
今日は、海外では「アフリカらしい」と言われるこの習慣の理由について、私がタンザニアのお友達から聞いた話をご紹介します。
きっかけは水不足
そもそも、頭にモノをのせるようになったのは、彼らが直面する「水不足」が始まりだそうです。水を入手するには、遠くの川や水があるエリアまでとりにいかなくては手に入りませんでした。今も、村では、家の水道から水がいつでも入手できるという家は少ないそうです。
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タンザニアの女性たちは働き者。この大切な水を自分の家に運ぶのは女性の仕事です。赤ん坊を背中に抱っこしながら、たきぎや食料など他にも運ぶものがたくさんあります。そこで、一度で全て運んでしまうために、一番重い水は頭にのせてしまおう、ということで、必然的に水を頭にのせることになったそうです。
「重いものだと20㌔のウォーターボトルでも運ぶことができるけれど、首にはよくない」と友達は話します。5キロくらいのものなら楽勝なんだそうです。
村では今も、多くの女性がこうやって水を運んでいます。私が住む町はタンザニアでは最大の都市ですが、バケツに果物や野菜、または魚などをつめて、道ばたで売っている女性をよく見かけます。きっかけは水を運ぶためだったこのスキルを活用して、販売をしているということのようです。
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小さい時から学ぶ
タンザニアの女性たちは、誰でも頭にモノをのせることができるそうです。なぜなら、女性の大切な役目として、小さい時にこのスキルを学ぶからです。村に行くと、とっても小さな女の子たちが、普通に頭にモノをのせて歩いているそうです。
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頭にモノをのせている男性は見たことがありません。聞いたところ「男性はできない」と断言されました。女性特有の技能なのです。
町に住む私のタンザニアのママ友達も、もちろん頭にモノをのせることができます。でも、彼女の4歳になる娘さんはできないし、そのスキルを学ぶ必要はないそうです。
なぜなら、水を頭にのせなくても、家に水道管が設置されたおかげで、遠くに行かなくても水が入手できるようになったから。「これからタンザニアの水道設備の状況が良くなり、水不足も緩和されて、若い世代が頭にモノをのせなくてもよい時代が来るわ」と彼女は期待して言います。
なくなってほしい文化
私は、こういった女性が頭にモノをのせて歩いているところが、なんだか素敵だな、バランス感覚がいいな、なんて感心して見ていました。ところが、タンザニアの女性たちに言わせると「いずれはなくなって欲しいタンザニアの文化」なのだそうです。
彼女たちにとって、この姿は「家事も育児も任される女性たちの重労働の現状」「水が手に入らない苦労」「男性からサポートが得られない女性の姿」を象徴するものだからです。
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頭にモノをのせる女性の姿が見られなくなった時、それは、タンザニアの女性たちの生き方が改善したことを意味すると言います。
そのため、自分の子供の世代には引き継ぎたくないこととして、いずれはタンザニアで見られなくなる風景になってほしいと期待しています。
まとめ
水が必要なら、車でペットボトルを買いに行って、舗装された道を運転して家に帰ってくればいい。そんなあたりまえのことが、あたりまえではないここタンザニアで、女性たちは頭にモノをのせるようになりました。
「アフリカらしい素敵な風景」のんきにそんな風に見ていた私ですが、こういった女性たちの姿には、タンザニアが抱える課題が多く潜んでいました。
その理由を知った私も、10年後、いや5年後にはこうやって頭にバケツをのせた女性たち姿がほとんど見られない、そんな風になっていたらいいなと考えるようになりました。
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