ついにきた!アフリカ的なおかねにまつわる体験
タンザニアに来てから、お金にまつわるいろいろなエピソードを聞いてきた。
家のお手伝いさんが、家の小銭を盗んでしまったとか、外国人には実際の倍の値段を請求する商店とか。その中でも、一番インパクトがあって、さらにあまりにもよく聞くのは、「親族が亡くなったので、その葬式に参加するために給料を前払いしてほしいという従業員」の話。それが、私にも昨日起きた。
現在、庭の草刈りなどをお願いする庭師さんをパートで雇っていて、彼は週3回うちに来てくれる。昨日は、彼がくる曜日ではなかったのだが、彼が来ていて仕事をしているので、「あれ、どうしたの?」と聞いてみた。
神妙な顔で近寄ってきて彼はこういった。「とても大変なことになったんだ。私の弟が昨日亡くなって、僕は彼の葬式に行かなくてはいけないのだが、そのための移動のために使うお金がないので、給与の前払いという形でお願いしたいんだ。」
これを聞いた瞬間の私には2つの混同した感情がわきあがった。
弟さんが亡くなってさぞかし悲しいだろうに、という同情の気持ちと、彼の話が回りの友達から頻繁に聞いていた、前払いを求めてくる内容と全く同じだ、といいう驚き。
前払いをしたら、翌日から仕事にこなくなったという話も聞くので、この対応には注意をしなくてはと思いつつも、親族が亡くなったのだとしたら、それなりにサポートもしてあげたいという気持ちとがせめぎあう。
結局、全額ではないが、一部を前払いするということで合意した。
彼が無事にお葬式にいけること、そして、お葬式の後にちゃんと仕事に来てくれることを願う。
なぜタンザニアでは、こういう前払いのリクエストがあまりにも多いのかを考えてみると、そもそも、私たちが考える「余ったお金は貯金する」という習慣がないからなのだと思う。
仕事を持つタンザニア人の人たちが皆いうのは、「タンザニアで仕事を持っている人は少ないので、仕事がある人は、収入を家族全員のサポートに使う」というもの。例えば、5人兄弟のうちで唯一仕事を持つ水泳クラスのコーチの知り合いは、彼しか仕事をしていないので、自分の両親と4人の兄弟(その兄弟の一部には家族もいる)を、自分が給与を共有して経済的なサポートしているという。
日本ではなかなか考えられないことだが、こういう体験をすると、私はアフリカにいるのだなと、実感する。
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