見出し画像

トランプさんの余波が他人事でなくなった日

トランプ大統領になって、メディアをにぎわす新しい政策が連日、発表されている。

トランプさんが大統領になった前回、アメリカに住んでいたのだけど、当時の自分の生活には、そこまで直接の影響を感じることがなかった。

今回は違う。それはタンザニアでの出会いがあったから。

「USAID(国際開発局)」と呼ばれるアメリカの組織がトランプの標的になっている。ここは日本の「JICA」に相当し、海外援助をするところだ。「政府の効率化」を理由に、トランプはUSAIDの閉鎖を通告した。

タンザニアで生活をしていた時に、このUSAIDのオフィスの巨大さと職員の多さに驚き、タンザニアでアメリカがかなりの規模の支援活動をしていることを知った。子供が通っていた学校にもUSAID家族が大勢いて、家族つき合いをしてきた。

USAIDの職員たちは、支援のエキスパートだ。学生の頃から、途上国で英語を教えたりNPOでボランティアをしたりと、途上国支援に情熱を持っている人が多い。スワヒリ語をしゃべり、肌の色が違っても気にせず現地の人に溶け込み、あふれるような寛大さとで仕事に取り組んでいた。すごくかっこよかった。

彼らの今の状況が気になり、タンザニアにいるUSAIDの友達にメッセージをしてみたら、すぐに返事が来た。

「もう信じられない状況になってしまった。解雇されるだろう」
「残り3年あった任期はなくなり、来月にはアメリカに帰らなくてはいけない」
「子供が大好きだった学校も来月にやめなくてはいけない。子供に申し訳ない」

新しい大統領になったことで、赴任地からの突然の強制退去、今後の仕事のゆくえも不透明だ。彼らのつらさが伝わってきて、どう返事をしたらよいのかわからなかった。

このUSAIDは、トランプ政権では「悪」「不正」「非常識なもの」と批判されている。私がタンザニアで見たUSAIDの姿とは真逆すぎて言葉がない。

USAIDという組織が生まれたのは、故ケネディ大統領の時代。「醜いアメリカ人」という本が創設のきっかけのひとつだとも言われている。この本は、アジアの国の言葉や文化の知識に関心を持たないアメリカ人外交官がふんぞり返っている一方で、よく訓練されたロシア人外交官がその国を味方につけたというストーリー。

故ケネディ大統領は、世界でのアメリカ人のイメージをもっと改善し、アメリカという国がもっと信頼されるためにも、外国を支援する組織が必要であると考えて、66年前にUSAIDを創設した。

私がタンザニアで見た、USAIDは、現地の人に医療提供や清潔な水の供給、マラリア対策を提供し、現地の信頼を得ていたし、アメリカの支援規模がすごすぎる!と日本人の私は圧倒されていた。

このUSAIDが完全に廃止され、世界からいなくなり、アメリカ第一主義だけで突き進む「醜いアメリカ」が生まれてしまうのだろうか。

最後まで読んでくれて、ありがとうございます!
この記事を楽しんでいただけたら、ぜひ「スキ」してくださいね。

海外生活に少しでも興味をもったあなたには、ぜひ私のX(旧Twitter)をフォローしてほしいです。日本にいるあなたにも日常の生活のヒントになる、海外生活ならではのへぇーというエピソードや気づきなどを毎日つぶやいています。

ぜひ、フォローいただけるとうれしいです!
・Xアカウント:ほりとも
・note: ほりとも@香港在住ライター


いいなと思ったら応援しよう!

ほりとも@香港在住ライター
読んでいただきありがとうございます。サポートいただいたお金は、noteでのさらなるクリエイター活動に充てさせていただきます!