さよならと出会いのあとで。
大事な家族が天国へ行きました。
彼の名前は「こっぺ」。
ほかよりちょっと大きなハムスターの男の子です。
頭のいい子。
彼がウチに来た日から毎日毎日変わる変わるいろんな人がウチにきて、こっぺと遊んでくれました。
こっぺも最初は威嚇や警戒をしていたものの、すぐに溶け込んでいった。
何日か経つと、誰かが来ると匂いで感じ取って自分から出てくるようになったりして。
人懐っこく、頭のいい子でした。
ある日、こっぺが脱走をしたことがありました。
扉の締めが悪く、無理矢理抜け出していったようです。
何か物音がする…と気付いた時にはもう、台所でびしょ濡れのこっぺ。
きれいに身体を拭いて変なものを食べてないか見て、ドライヤーで乾かされてる時のこっぺの顔は、いかにも「やめて~」って表情で、思わず笑いました。
実は先代にいた4匹も、みーーーんな脱走経験あり。
さすがウチの子。恐れずに新しい世界へ飛び込んでいくのは遺伝のようです。
もれなく全員、「やめて~」って顔もしてました。
優しい子。
こっぺは目ヤニが多い子でした。
病院でも原因がわからず、でも大きな支障はなさそうではあり、いつも目を閉じて「とって~」と近づいてきました。
そのたび綿棒を濡らして目ヤニを取って目薬をさして、元気そうに駆け回っているのも見てて幸せでした。
ね、本当に頭がよくて、優しい子なのです。
こっぺが生まれて2年と3ヵ月が経ったある日、旦那が
こっぺの爪や歯が伸びすぎていることに気付きました。
年のせいでなかなか運動ができなくなり、しっかり食べないしかじらなくなったので歯も伸びていったようです。
爪を切ってもらう目的で、いつもより早めに定期健診に行きました。
さあ爪を切ってもらおう!と思ったら、先生があるものを見つけました。
「あごの下に、大きな腫瘍があります」
長毛ハムスターという種類のこっぺは、長くふわふわな毛でその腫瘍が気付きにくくなっていました。
ゾクっとしました。
真っ先に思い浮かんだのは「わたしがこっぺを不幸にしてしまった」でした。
しかし落ち着いて先生の話を聞くと
「この腫瘍は歳のせいでできるもの。治ることもあるし、食事の改善で腫瘍が小さくなることもある。手術で取り除くこともできます。」
とのことで、まずはその不安が解消された、、のですが。
こっぺはもう2年3ヵ月生きている。
これは人間に置き換えるとかなりの長寿です。
手術や治療はできるものの、麻酔やメスを入れることなど、
この小さな身体にこれ以上負担をかけるのは嫌だという気持ちでした。
夫婦ともに、先生も、その意見に同意でした。
ゆっくりと最後の時間まで広い場所で遊ばせてあげてください。
言葉は使わなくとも、それは余命宣告でした。
元気な子。
広いところで遊べるスペースを作って、食事を改善しました。
先生が言うには、奇跡的に神経から遠いところに腫瘍があるという状況のおかげで、痛みはないそうです。本当に痛くなさそうでよかった。
けれどこっぺは、日に日に寝る時間が多くなり、
水も食事もうまくとれなくなりました。
ある日、目ヤニもなく、体調も良さそうな元気なこっぺがいました。
これはチャンスー!と思い、色々やってみようと思いました。
まずはわたしの膝の上にのせて毛づくろい。
気持ちよさそう。
ご飯もよく食べる。お水も少しだけ飲めた。
大好きなソファーでたくさん動いて遊んで、楽しそうでした。
こっぺは相変わらず、元気な子。
うん、まだ一緒に居れるかも。
そう思った次の日、
わたしが仕事に行っている間に、こっぺは動かなくなりました。
暖かい子。
旦那からの「こっぺがもうダメかもしれない、身体も冷たい」と電話。
既に会社からの帰り道だったので急いで帰りましたが、
たった5分後には「こっぺ、死んじゃったと思う」との連絡。
あっという間でした。
…ん?死んじゃったと「思う」??
急いで家に帰ると、もう花やおもちゃに囲まれたこっぺが居ました。目も空きっぱなしで、たしかに死んでしまっている、と思うものの、
何故かわたしには、「まだ生きてる」と感じたのでした。
すると、持ち上げた瞬間、ぴぴぴっと動いて、
すこし震えた後、自分で目を閉じていきました。
わたしがくるまで、待っててくれたのね。
本当にきみは、頭が良くて、良い子だね。
だから、最後まで元気に遊べて、暖かい仲間に囲まれたんだね。
ありがとう、大好きよ、こっぺ。
安らかに、ちょっと寂しそうに、こっぺは眠りました。
幸せな子。
つづき家には歴代5匹のハムスターがいました。
最初の子は「おもち」
次の子は「おこめ」
次の子は「おはぎ」
そしてここで友人から預かった「ロール」
今回の「こっぺ」
お米とパンの名前でできています。かわいいでしょう。
ある子がちょっと体調が悪くなったりすると、次の子をお迎えしています。
それは、ハムスターが隣同士2匹で居るとちょっとだけ長く生きてくれる、元気になってくれる、と感じているからです。
これは実証はないけど、我が家では実際にそうでした。
新しい子が来ると、先の子はだいぶ元気になったのです。
後輩にかっこいいところを見せたい、って気持ちなのかな??
※おうちは全て別です。
そして、わたしたちの気持ちを支えてくれる役割も担ってくれていました。
大きなペットロスを新しい子は天真爛漫に支えてくれました。
なのでみんなが元気になれる!という存在が「新しい子」でした。
こっぺも、誰かを元気にするために来て、
みんなを元気にして生きていきました。
そして、今は、「ころね」というチョコパンの仲間が、我が家で大きな顔をしているのでした。
最後に。
ずっと元気でいてほしい。何年も生きてほしい。
そんなことは叶わないのに願ってしまうのは愚かでしょうか。
わたしはそんなことないと思う。
その思いが、1日1日をかけがえのないものにしていくから。
また今日も、元気な滑車の音を聞きながら、かけがえのない日々を送って行こうと思います。
愛してくれて、ありがとうございました!
こっぺのママより。