官僚階級論 霞が関(リヴァイアサン)といかに闘うか (モナド新書010)
自分の記憶にある中で、官僚を階級として捉え、二項対立を煽り、ポピュリズムに徹した政治家は小泉純一郎と野田佳彦だったと思うが、それ以外の政権は基本的には官僚に操られ、官僚の政策の下で、政権運営をしてきたと思う。
つまり、民主主義というのはフィクションで、実質的な国家運営は官僚に委ねられている。
行政府のトップが首相であり、議会制民主主義を続ける以上、政権が官僚の傀儡となってしまうのは原理的に防ぎようがない。民主主義はフィクションである。
本書では、官僚とは一つの階級であり、徴税権を武器に富の再分配を行う階級である、ということを解き明かしている。
私は、官僚は国家のために身を粉にして働く人も多く尊敬しているが、コロナウィルスのクルーズ船の対応等を見ていると、今までは日本のトップ層が官僚になっていたが、今はそうではないのではないか、と思ってしまう。
それに比較すると、共産党が運営する中国の方が、意思決定、官僚の優秀さは数段上のように見え、暗澹たる気持ちとなっている。