最強のバンド
当時の僕はそんな風に彼らをみていた。
ツェッペリン、ローリング・ストーン、ビートルズ、レッド・ホット・チリ・ペッパーズなどなど
様々な時代において、その人にとって最強最高のバンドがいるだろう。
日本ならどうだろう?
XJAPANやブルーハーツなどは誰もが1曲は知ってるくらい有名なバンドだ。
小学生の終わり、中学生くらいから今まで流行っていたビジュアル系の音楽からヒップホップ、レゲエやアイドルの曲が世に多く流れていたように思われる。
兄のいた僕はもちろん今流行りの音楽も聞いてはいたが、
兄から聞かされたバンドがきっかけでギターを始めることになる。
そのバンドがHi-standardだった。
Hi-standardも僕が知っていた時には既に有名だった。しかし、歌番組とかで見かけるようなものではなく、周りの友人はほとんど知らなかった。
親しい友人にこのバンドカッコイイから聴いて!なんて勧めていたのを思い出す。
なにがそこまで自分を引きつけたのだろうか?
シンプルでパワーのあるサウンド、そこに情緒的なものを感じるメロディ。
それとも日本人が全部を英語で歌ってる姿がカッコよかったのか。
歌詞の和訳に自分を重ねたのか。
それもあるだろうが、AIRJAM2000での映像。それが彼らの音楽の凄さを感じたのだと思う。
「MOSH UNDER THE RAINBOW」
会場の人々が手を取り合って人の輪が出来ていた。
知らない人同士が肩を組み合って楽しそうに曲に合わせて回っているのだ。
衝撃的な映像だった。
その後Hi-standardは活動休止してしまうのだが。
バンドって凄い!俺もやりたい!
そう思った僕は兄がつかっていた1万円くらいのギターセットを貰う。
メーカーもわからないストラトだったがスコアを買って夢中になって練習をした。
ベースやドラムをやってた奴にもすぐに声をかけた。
練習していても中学生で発表する機会はなかなかなく、初のライブは高校まで先延ばしにはなったが、そこでやった曲もHi-standardのコピーだった。
演奏するだけでなく、落ち込んだ時、気合を入れたい時、そんなときにもHi-standardの曲をよく聞いた。
その後もずっと大学までバンドを続けるが、色々なことに追われライブすることもなくなった。
大人になって世のことを少し見えるようになり、他のバンドの歌詞や発信することに対して嫌気がさし音楽を聞くこと自体しない時もあった。
それでも、自分の中の最強のバンドはHi-standardというのは変わらなかった。
今日、Hi-standardのドラムである恒岡章さんの訃報を聞いた。
頭が真っ白になった。
ハイスタが復活していたので、いつかは生で3人の演奏を見ることが出来ると思っていたが、それも叶わなかった。
ただ言えることはあの3人が僕にとってのヒーローであり、
多感な時期、情緒不安定な自分を救ってくれたバンドだったんだ。
ツネさんありがとうございます。
ご冥福をお祈りします。