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障がい者アートを支援する-3

#11:アート/技術と画材

1年間のサポートで障がいの種類や度合い、技量や得意・不得意でアートへの熱量が変化することがわかりました。今回は「苦手を克服するのではなく、得意を伸ばす」ヒントとして画材の特徴をまとめてみました。

これまでの記事
・障がい者アートを支援する-1/問題を明確に
・障がい者アートを支援する-2/絵が好き? 嫌い?

■画材は主に3種類
まずは絵具です。大きく分類すると油彩水彩、油彩は敷居が高すぎるからとりあえず却下して使い勝手の良さから水彩とアクリル絵具がいいでしょう。なかでも水で薄められるアクリル絵具は乾燥後も重ね塗りができて便利です。アクリル絵具の中にはガッシュというのもあります。これは不透明な絵具で色をムラがなく塗る時にとても便利です。
一方、水彩は透明感がある表現が特徴。パレットに出した絵具が乾燥しても水を足せば再び使用できます。ただ重ね塗りをすると下の絵具が溶け出し、にじむことがあるので注意が必要です。

国産メーカー、ターナーのアクリルガッシュと水彩 同じメーカーなので色合わせがしやすい

次に色鉛筆クレヨンです。これらはお絵描きのベーシック・ワンですね。そしてクレパスも水を弾くので面白い表現ができます。難易度が上がりますがパステルもあれば嬉しい画材です。

最後にカラーマーカー。どこのメーカーのものでも良いですが、気をつけるのは油性と水性の違いによって描ける素材が違うといういうこと。油性なら紙だけでなくプラスティックや金属にも描けます。さらに絵具と同様にインクが透明なものと不透明なものがあります。三菱鉛筆posca(ポスカ)は水性ですが不透明インクでいろんな素材に描くことができ、表現の幅が広がります。

購入後、まずは画材を撮影してプリント。それを内箱に貼っておくとバラバラになっても整頓しやすい。整頓を習慣化することで「色相の変化」を無意識に勉強できます


■どの画材が使いやすいか
技術面で最もハードルが高いのは絵具です。まずチューブから絵具を出し、水を加えて適切な粘度に練ることができない。水が多すぎてしゃぶしゃぶになったり、逆にドロドロすぎたりといった具合です。描きたいイメージに合った筆を使うという意識がないので、細い線を引くのに平筆を選んだりします。そして筆に含んだ絵具を筆圧や筆の角度、いわゆる筆使いによって線や面を描き分ける技術的難度の高さ。このような点から絵具+筆は難しい画材になっています。

逆に一番とっつきやすいのは色鉛筆でした。子供たちが画用紙に落書きをするように、さしたる技術を必要とせず気軽にあつかえる画材が色鉛筆やクレヨンです。

蛍光色やメタリックカラーのカラーマーカーが大人気 みんな派手な色が好きなのかな?

そしてカラーマーカーが一番のお薦めです。混ぜ合わせることができないのでオリジナルカラーは創れませんが、ブランド(COPIC/コピック)によっては色数がとても豊富です。
芯の太さが数種類あるので、細い線から広い面まで描ける。鉛筆のように誰にでも簡単に使えて、筆圧の調整も必要ない。
そして、それなりに強い絵に仕上がる。←これ重要な要素なんです。例えば色鉛筆だと淡く繊細な表現が得意なんですが、離れて見ると弱々しく感じることがあります。筆圧が低い人もいるので力強い表現が難しい。その点、カラーマーカーだと彩度の強い色を選べば、離れて見てもインパクトがある絵にすることが可能なんです。

このように画材によって特徴が違いますから、使いすいものを選んであげましょう。結果、簡単に楽しく絵を完成させ「本人が大満足なら、とっかかりとしては100点!」と僕は思います。


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