はじめての体外受精、採卵が激痛だった。。。
前回、前々回投稿にて、35歳結婚3年目、はじめての体外受精に至るまでの経緯と、体外受精をすると決めてから採卵当日までの体験記を書きました。
体外受精をやると決めた8月。週に2回も仕事を抜けては婦人科に通院し、生理開始直後から卵巣刺激のために大嫌いな注射や採血を沢山耐えてようやく迎えた採卵当日のこと。
旦那さんも精子を提出するために朝一でクリニックに向かう。
体外受精を始めてから、旦那さんも自己注射の手伝いをしてくれたり、薬の飲み忘れがないように指摘してくれたり、私が辛そうなのを見て、ずいぶん協力的になってくれたように思う。
体外受精については、妊活をするのであれば、私にとってはメリットしかなく、やらない選択肢がない位の気持ちでいた。
今日採卵をして無事胚移植ができたら妊娠の成功率も高くなるし、いくつか良い状態の卵子が取れれば今回ダメだったとしても来月以降に胚移植することもできるし、卵の状態も第三者の目で詳しくわかるから、次にやるべきことが見えてくる。おまけにもし今回成功できたとしたら、いま時点の良い状態の卵子を第2子のために凍結することができる。
お金は掛かるけど、妊活を前に進めるために、本当に良いことしか無いなと考えていた。
客観的に今自分で思い返してもこの論理に相違はないけれど、、、この採卵当日の痛みは凄まじくて、とにかく辛かった。。。
今思えば、採卵は具体的に何をするかを理解できていなくて、痛みに対する覚悟や気持ちの準備ができていなかったのかなと思う。
婦人科の、いつもの診察時とは違うフロアに通されて、手術服を着せられる。
(そうか、今日は手術服を着るんだな、いつもよりも本格的だな・・・)
しばらく経って手術室に連れられる。
シルバーの無機質な部屋に分娩台があって、周りには機械が沢山取り付けられていて、、なんだか物々しくて身体が強張ってしまう。
本人確認のため、何度も自分の氏名と生年月日を言わされる。
(本当に手術みたいだし、自分は病気みたいだな・・・)
10分くらい分娩台の上で待たされて、ようやく先生が登場。
クリニックの院長の男性医師で、この手術で初めて会う先生だった。
(え、男性が施術するのか・・・)
できれば女性が良かったけど、仕方ない。
この先生にも氏名と生年月日を伝える。
笑気麻酔じゃなくて局所麻酔だから手術前の看護師さんとのやり取りや先生の会話が普通に聞こえてくるのを聞きつつ、どんな先生なのか観察してしまう。
あーなるほど。。。
私の苦手な、ワンマンっぽくて、看護師に大きな声でまくしたてる感じの話し方をするタイプ。
体外受精の採卵の段階になるまで、人工授精でも体外受精の採卵当日までも、この先生と会話をしたことがなかった。
(癖のある先生だなー・・・丁寧にやってくれるかな、、、不安・・・)
膣の中を温かい水で洗浄した後、左右2箇所に麻酔を行う。
もともと歯医者の麻酔みたいなものと聞いていたけど、実際はなかなかの痛み。。。
膣内の柔らかい部分にキーーンとした痛みが響いて、内臓が収縮されてこわばる感じ。これが2回続いた。
(やっば・・・激痛やん・・・)
でも、麻酔をしたのだから、もう痛みはないだろう、、大丈夫大丈夫。自分を自分で励ます。
自分の身体に痛みがないかどうか敏感になってしまっていて、全身から力が抜けないし、ちょっと汗をかいてきた。。。
そして案の定、痛みは止まらなかった;;;;;;
カメラの付いた長い棒?でお腹をいろんな方向にグリグリされる物理的な痛みと、採卵針で左右くまなく?刺されてる内臓の痛み。動かないように看護師さんが身体を固定するけれど、動ける範囲で身体をよじる。。。内外からのあらゆる違和感と痛みを感じながら、卵が採取されていく。。。
内臓や身体を抑える力も痛いのに加え、私は子宮が曲がっていたみたいで、カメラに映りが悪い部分があるとお腹を上から看護師さんが結構な力で圧迫して押さえつける。
(うっそでしょ、、、、辛すぎでしょ・・・・・・)
涙が溢れてきた。
子供が欲しい。
子供が欲しいから早く結果が欲しくて、結果を前倒し、未来の可能性を広げるために体外受精を難なく選んだ。
でも痛すぎる。
ここまでして本当に子供が欲しいのか?
不妊なことは自然の摂理であって、今行っている行為はそれに逆らっているのではないか??
耐えても耐えても終わらない、、、
ここにいる院長も看護師も自分を大事に扱ってくれていない気がする。
なんでこんなことまでして、、、
旦那さん、助けて・・・・。
自己注射で思っていた「最悪」「最低」な気分なんか吹き飛んでしまうくらい壮絶で、虚しくて、ずっと前から積み上げてきた自己肯定感がガタガタと崩れていく感じがした。
辛かった10分が終わった時には、冷や汗と涙でぐしゃぐしゃになった。
院長はごめんね、痛かったね。と最後こそ優しく言ってくれたけど、とにかくショックで感謝など言える状況になく、ただただ頷くだけしかできなかった。
分娩台を降りて、安静にできるリカバリールームに通されてしばらく横になって休んだ。
術後もしばらく内臓を刺されたことのジンジンする痛みはおさまらなくて、すぐに痛み止めの座薬を使った。お腹のグリグリも、内臓への注射も、なかなか感触は消えない。
何ていうか、本来は施術してくれてありがとうございますなのに、医者にレイプされたような喪失感が襲ってきてしまった。
30分くらい横になって痛み止めが少し効いてきたころ、お会計を待つため、待合室に移動した。
旦那さんは採卵が終わるまで待っていてくれた。
採卵直前は割と元気だった私の表情が曇っていたことに驚きながらおつかれ、と声を掛けてくれた。
お会計は8万円くらい。
旦那さんが共通口座から10万円おろしておいてくれた現金で精算した。
体外受精にステップアップしてからというもの、クリニック帰りの現金での高額支払いとホルモン剤の作用もあってか、クリニックを出た瞬間に涙が出てしまう現象が続いていた。
そんな私を心配してくれていたから、今日は旦那さんも仕事を調整して付き添ってくれている。
クリニックを出た瞬間、強い日差しと熱のような暑さの空気が襲ってくると同時に、緊張の糸が切れて、またぶわぁって涙が溢れてきて、慌てて日傘を差して顔を隠した。
旦那さんと手を繋ぎながら、採卵がどれだけ痛かったか、先生がどんなだったかなどを泣きながら色々話した。家に一緒に帰ろうか?と旦那さんは言ってくれたけど、大丈夫と伝えて、そのまま仕事に行ってもらった。私はそこからフラフラした気持ちで歩いて家に帰ってきて、ベッドに横たわっては、1日中泣いていた。
本当に体外受精をしたタイミングは良くて、世間はお盆の真っ只中だったから、仕事のメールは少ないし、仕事量は落ち着いていたのが本当に助かった。
一人で家にいると、壮絶な出来事を思い返しては涙が溢れ続ける。
ホルモン剤のせいなのか、すごくメンタルが落ち込む。
楽しく仕事をしながらも恋愛に明け暮れた20代、ちょっとした焦りを感じながらも趣味に打ち込んできた30代のこれまでを思い返しながら、凹んだ。
あと3年、いや5年早かったら、この体験をしなくて済んだのかもしれない。
なぜ自分は女に生まれてしまったんだろう。
特別仕事ができる訳では無い私がこれまでそれなりに仕事をできたのは、女としての出産・育児を放棄してきたからであって、今そのツケが回ってこようとしている。
子供を生むためにこんなに苦労をしている自分、ここまで苦労していても結果が出ないかもしれないストレス、キャリアも女としても何も残せないのかもしれない将来への不安と思うと、自分が何を糧に生きていったら良いのかわからなくなってしまった。
20代で子供を産んで苦労しながらもキャリアをステップアップしつつある友人、苦労せずに子供を何人も授かっている友人の姿などが思い出されて、勝手に比較してしまって孤独を感じる。
そんなことを考えて、とにかく泣きっぱなしの1日でメンタルはぐちゃぐちゃだった。
だけど、無事に採卵は終わったのだ。
大仕事を1つ終えて、少し前に進んだ気持ちになった。
次回は採卵翌日〜胚移植について書いていきます。
(つづく)