''ねーねーほほほ''
ねーねーほほほ
とは何か
この音だけきいて、すぐにピンとくる人がいたら4人しかまだいない。
この音がまちの中で、発語されているだけでちょっと愉快でおもしろい。
''ねーねーほほほ''とは、芦辺浦にある元空き家の名前である。
持ち主は、那須くんという、元壱岐yoyoのメンバー。 壱岐yoyoプロジェクトが途中で打ち切りになり、活動の場づくりを自力でされていた時に、カントクに、
ここに「何があったらおもしろいと思いますか?」
と声をかけて、カントクが「キッチン!」と即答したことからものがたりがはじまる。
林くん (建築設計役)
タカハタ (カントク)
トミー (台所設計アドバイス役)
カントク、林建タロー、トミーで、この場所がどうなったらおもしろいかとか、家主の那須くんのおもしろさを勝手に掘り下げて話し合った時間は楽しかった。わびさびや、火がテーマであること、お茶や最終、茶室があったらおもしろい!
などなど。
この3人で、なんとなく文学部みたいになった時期があり、この2人の文化と妙な持ち味は大好きである。
短歌いいよね!から
短歌が流行った時に、何となくふたりに詠んだ短歌がある。
「はやけんの めしつくるのは 世の中を おもしろくして もう少しだけ」
「監督は つよいのよわいの どっちなの どっちもあるの 愛のカタチは」
(林くんいわく、カントクのコピーはデリカシーのない慈愛)
林くんは奈良の出身で、ライトハウス設計事務所に所属していた。卒業して一級建築士の試験勉強中のちょっとした仕事にと、カントクが今回頼んだ事もある。
最初はただのイケメンモダンボーイだと思っていた。監督は、一見普通見で文化の匂いのするやつをロックオンすると食いついて話しかけるので、林くんもロックオンされたのである。
(だいたいおもしろい人を発見するとあいつ、おもしろいよ!と前のめりに教えてくれていた)
このモダンボーイはどんなベースで生きているのか、と、よく思って、チリトリのカウンターに座ると、
生きてる?!となぜか聞いていた。
だいたいその時だけ若干前のめりに、生きてますよ!(実際はびっくりマーク半分ぐらいの感じで)
と、返ってきた。
それだけで面白かった。
カントクはご両親が教職を取られていたので、見た目のチャラさやポップさとは裏腹に、芸術的感覚と公に尽くす感覚が養われている。
(本人は反抗的なので監督のトミー的愛称は白百合の暴走)
家主の那須くんは、暮らしの中で火を燃やしている。器(作家さんのやきもの)や、アンティークカトラリーなどを扱った仕事を東京でされていた。
那須くんには、フードコーディネートの仕事で道具を借りることでお世話なっている。
火が好きなのが高じて、焼き物にも興味があり、壱岐yoyoの時に、壱岐の土から器をつくり、友人の唐津焼き作家さんに頼み、友人の福岡の料理人さんに料理をしてもらう会を進行させていた。
わたしは壱岐に、''文化人の台所''があればいいなと思っていた。壱岐にたびたび訪れる食にまつわる文化度の高い方が、思わずその台所にたち、まちや地域に、あらたな文化をおとして行ってくれる場所。
壱岐に訪れる海外の方にも通ずる、THE日本文化の表現が可能な場所。
そして、
那須くんの持っている、和の器とヨーロッパアンティークが一緒に共存できる空間を提案した。
全員、自分なりの高い美意識を譲らない感覚を持っている(かと思えば、まぁいいか、も持っている)
共通項は文化と芸術である。
ねーねーほほほが文化と芸術が起こる場所、可視化できる場所になっていったらいいなと思っている。
ちなみに、場所の名前の候補は、'sabisisa'
'mumyo'(無名)(無明)などいろいろでたが、カントクが真面目すぎて、面白くない!と言い出し、
わたしも確かにな、
と思ったところ、ねーねー、とか、ほほほとか
、、と言い出し、結局ねーねーほほほになった。
もし、漢字を当てるなら、''寧寧炎頬穂''かな。
ne-ne-hohoho
あらためて、妙なおかしみがある名前だなぁ。
ねーねーと親しみを込めて話しかけるように。
ほほほと笑う。
ほほほは上品な笑い方、日本の貴族のイメージもある
ひとことで言うと、''雅な笑いかけ"だ。
那須くんの、火との暮らしや洗練されたものを見る目がちょっとまちに出る場所。
カントクの福祉や漁業、公の精神がちょっとまちに出る場所。
林くんの、建築以外の表現のセンスの良さと芸術性がちょっとまちにでる場所。
遊びながら、形を持ちづらいそれらをちょこちょことこの場所に置いていったら、おもしろそうだ。
なんだかよくわからない4人が偶然、同じ時間の中でつくり出した場所。
ねーねーほほほは、在るだけですでにおもしろい。