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日本(KLC)とタイ(BIVFC)の不妊治療の違い|あなたにとっての心理的負担とは?

日本とタイ、それぞれで不妊治療を行いました。不妊治療において、どうしても病院との相性というのがあると思います。行き詰まった時や思い詰めてしまう時は、病院を変えるという選択もあるということを知っておくのはいいことだと思います。

私は日本の加藤レディスクリニック(KLC)とタイのバンコクのバンコクIVFクリニック(旧バンコクIVFセンターラップラオ)にどちらも長く通い、KLCで顕微受精で4回(1回稽留流産、3回出産)、バンコクIVFクリニックで顕微受精で1回(現在妊娠中)の計5回妊娠しました。

2つの病院は治療方法が異なっており、それに伴い不妊治療にかかる負担も大きく違っていました。

加藤レディスクリニックは、その人本来の妊娠力を活かして、最小限の薬の投与での治療を行うという方針です。

私の場合、採卵まで数日間1日1粒の薬の服用、その後採卵2日前に点鼻薬の投与を行うのみでした。注射を打ったり、膣剤を使用したりということはありませんでした。卵の数よりも質にこだわり、無駄にたくさん育てないため、採卵自体の負担も少なかったと思います(平均的に1回の採卵で3-4個ほど)。採卵や移植の手術は、極小針を使用し無麻酔で行われます。無麻酔でも、痛みはそれほどではなく、術後20分程度安静にするだけで帰宅することができました。薬の使用が少なかったこと、採卵や移植までの来院がそこまで多くなかったことは、仕事をしながら不妊治療をしていた身としては、心理的負担が少なく非常にありがたかったと思っています。その心理的負担の少なさは、少なくとも私にとっては成功率を上げる大きな要因になったのではないかと思っています。もちろんそれだけでなく、医師や培養士の技術力の高さ、病院の蓄積された成功データの活用などもあるのだと思いますが。

バンコクのバンコクIVFクリニックでは、ありとあらゆる薬剤を使用していました。採卵まで、毎日の自己注射、膣剤の使用、飲み薬の服用。移植までと移植後も永遠に続く薬の服用や膣材の使用。日本では認可されていない、最新の薬なども積極的に取り入れていて、成功確率を上げるためにやれることは全てやる、という方針なのだと思います。それ自体は素晴らしい方針なのだと思いますが、私にとっては、これは大きな心理的負担でした。子育てと仕事をしながら、さらに近隣国から飛行機で1時間ちょっとかけてバンコクの病院に通いながら、日々の注射や膣剤な使用は多大なストレスでした。採卵は、全身麻酔で行われました。採卵時の痛みを感じないというメリットはありますが、全身麻酔自体のリスクもありますし、麻酔する前は毎回不安で、目が覚めた時は安堵しました。また、薬や注射をたくさんしても、実際に採卵でとれる卵子の数は、KLCの時と変わらず3-4個でした。バンコクでは、着床前診断(PGT-A)をしていたので、3-4個の受精卵がとれても、異常のない受精卵はその中に1つあるかないかという結果でした。

バンコクIVFクリニックには、1年半ほど通い、その間5-6回採卵を行いましたが、着床前診断(PGT-A)の結果、正常胚はわずか4個でした。2回を移植しましたが着床せず、2個の凍結受精卵を残したまま日本に帰国しました。コロナ禍でバンコクに渡航することができず、その間日本のKLCで第二子、第三子を授かりました。再び今度はバンコクに移り住むことになり、バンコクIVFクリニックに凍結していた受精卵を6年ぶりに移植し、今回の第4子妊娠に至りました。

かつてバンコクで不妊治療をしていた時は、これだけ時間もお金もかけて(着床前診断が高額なこともあり、体感として日本の3倍の値段+1クール5-6回の飛行機往復代とホテル代)、注射も膣剤の使用も頑張っているので、なんとしても早く2人目が欲しい、と追い詰められた気持ちだったと思います。慣れない1人目の育児、また治療の度に子供をシッターさんに任せてバンコクに渡航することへの罪悪感もあったと思います。今思い出しても、あの時は辛かった、、、なんで自分だけがこんな大変な思いをして育児と仕事と不妊治療をして、夫は独身かのように毎日飲み歩いて、、、と今思い出しても腹立たしい(笑)

それに比べて、今回バンコクでの凍結受精卵の移植にあたっては、まずどうしても妊娠しなくてはという気負いはなく、年齢も年齢だし、成功したら奇跡!くらいの気持ちでした。また、病院にもそこまで成功率にはこだわらないので、極力薬の使用は最低限にして、日々の負担を増やしたくないと伝えました(それでも飲み薬や膣剤の使用はあり)。また移植前後も、今いる子供たちとの生活を優先して、特に安静にしたり何か制限を設けたりせず、いつも通りの生活を心がけました。まさか妊娠できるとも思っていなかったので、結果陽性と伝えられた時は驚きました。30代に1年半通って1度も妊娠できなかった病院で、まさか40代で1回の移植で妊娠できるとは!と。

つらつらと書いてしまいましたが、日本とタイの違いというよりかは、病院毎の治療方針の違いがあり、人によって病院との相性も様々かと思います。もし成果がでなかったり、辛く感じたら、気分転換に病院を変えてみるというのもいいのではないかと思います。

そして、その渦中だとなかなか難しいとは思うのですが、なるべく思い詰めないこと、自分を責めず甘やかしてあげること、少しでもストレスフリーでいられる環境を作ることが不妊治療をする上では大切なのかなと経験上思います。いや、難しいですよね、、、でもそんな思いを込めて、この記事を書きました。1人でも多くの人が自分自身にとって納得のいく不妊治療になることを祈っています。

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