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部門目標を達成したいなら目標を部下に落とすな!!

最善の目標設定とは?

プレイングマネージャーは部門としての目標を設定されていると思います。そんなマネージャーが自身の目標を達成するための最善の方法を教えます。

それは表題の通り「部下に目標を落とすな!」です。
こういわれると、「目標管理制度(MBO)では分解して落とし込めと言われた」「OKRってそういうものじゃないの」と部門目標を部下の目標に落とし込むことが当たり前だという言葉が聞こえてきます。
今は多くの企業がMBOを取り入れているようですが、ほとんどの場合は部下に部門目標を共有し部下の目標設定に落とし込むようにしている若しくはするように教えられたと思います。しかし、実際にこれでうまく行っているマネージャーが多いのであれば目標設定の方法を教える研修なんて必要ないと思います。でも、実際は目標設定の仕方を教える研修、本や動画も沢山あることを考えると上手くいっていないマネージャーが多いのだと思います。
部門目標を部下に落とし込んで上手くいくケースは本当に稀だと思います。以下にその理由と対処方法について書いていきます。

部門目標を落とし込んでも上手くいかない

そもそも、部門目標とはマネージャーが経営層に対するコミット、つまりマネージャー自身の成果です。そう考えると部下に落とす目標値は自分の成果につながるものですよね。部下目線で考えれば、目標達成=上司の目標達成なわけで、部下から慕われていて、あの人のためにというマネージャー以外からすれば「なぜあの上司の為に頑張らないといけないの」となりがちです。下記のアンケート調査からその理由が見えてきます。

尊敬できる上司がいる割合

株式会社ライズ・スクウェア( https://www.rise-square.jp/ )の、全国の働く男女500人を対象に「尊敬できる上司とできない上司の特徴に関する意識調査」(https://www.rise-square.jp/contents/nayami/jyoushisonkei.php)によると「職場に尊敬できる上司がいない人は50.6%」という結果だそうです。

「尊敬できる上司とできない上司の特徴に関する意識調査」(https://www.rise-square.jp/contents/nayami/jyoushisonkei.php)

質問が「職場」ですから、「自身の上司」と言う質問なら、もっと数字は悪いかもしれませんね。
少なくても半数の方は上司を尊敬できないと感じているわけです。そんな尊敬できない上司に「俺のために目標達成してくれ」と言われているのと同様の部門の目標から落とし込まれた目標設定をされ、例えそれを部下の口から言わせたとしても心から目標達成に動く人は少ないでしょう。
それなのにそんな上司に限って「部下は主体的に動かない」「目標に対する意識が低い」等と愚痴を言っている事例が多くあるのが現状ではないでしょうか。
そうはいっても、「営業部門は成績が給与に直結している」「目標設定が評価に連動しているから」というようにMBOを取り入れている会社は成果主義の制度設計をしているのではないかと思います。
「給与や昇降格に影響するから誰だって頑張るはずだ」と思い込んでいませんか。確かに少なからず影響はしますが、そのような外的動機付けはあまり長い時間継続できない場合が多いです。
私自身、営業時代はインセンティブの割合が高い給与体系でしたが、その分支店の売上なんて目もくれません。ある月はたまたま自分の営業数字が良くて支店の半分以上が自分の売上だったけど、支店自体の目標数字には達していない状況でさらに自分が頑張ろうという気持ちより、現状もらえるインセンティブでウハウハで、今月それ以上頑張るより来月に残しておこうという考えでいました。
例え目標達成度が評価に連動していても部門の成果を自分事にできるのはマネージャーだけです。
実際、MBOの生みの親であるドラッカーは、MBOは評価と連動させてはならないと言っているそうです。
つまり部門の目標の分解を部下の目標として設定しても、それは自分の目標でしかなく、部門の目標に対して自分事化してくれる部下はほとんどいないと思っておいた方が良いと思います。
「うちの部下は部門や会社の目標を目指してしっかりやってくれている」というマネージャーの方はきっと部下から尊敬が厚いマネージャーなのだと思います。ほとんどの方は目標を設定しても守れない事の方が多いのではないでしょうか。

部門目標を落とすのをやめたら部下が自発的な行動を

マネージャーをし始めの頃は、部門に課せられた達成目標を可視化して部下にも分解して落として叱咤激励をするというマネジメントをしていました。
しかし数年頑張ってみても上手くいきませんでした。
理由を考えてみると、部門目標はマネージャーである自分自身の達成成果であり、それと部下は関係ないという考えに至り、次の年から部門目標を部下に伝えるのをやめ、部下には部下なりに考える自身の成長に繋がる目標設定に変えました。
すると部下は自分自身の目標に向かった一生懸命努力をするようになり、それを後押しすることで自ら考え行動をするようになりました。
以来、部門目標は基本的に公表せず部下には部下の目標設定に集中してもらうようになりました。結果として高かった離職率は下がり、部下の成長度が増すようになりました。
でも意識が高くなると部下から「ところでこの部署って目標あるんですか?」と聞かれます。その場合は「あるにはあるけど、それは私の目標だから気にしなくてもいいよ」と答えています。
もちろん、目標達成のために部下の成長が必要な箇所を決めて各部下の目標設定をしているので、部下がそれぞれの目標を達成してくれれば必然的に部署の目標を達成できるようにしています。

部門目標を達成するための部下の目標設定はどうするの?

部下に部門目標を落とさずに目標達成するためには部下の目標を誘導していく必要があります。
例えば部門で体重を合計10㎏落とすという目標があったとします。
その際に部下によって落とす体重を決めA君は1㎏、B君は3㎏、C君は2㎏、自分は4㎏と決めるのが今まで良くされていた目標の落とし込み方だと思います。
数字を落とさず体重を落とさせるには何が良いかを考える必要があります。部下毎の現在の体重、運動の好き嫌い、何が体重を落とすモチベーションになるのかを把握したうえで3名にそれぞれ目標を設定してもらうわけです。
例えばA君は運動はあまりせず、体重も軽いので大幅な体重減少は目指せない、ただ、甘いものが好きだったのでそれを制限するような目標を設定するようにします。
「A君は確か甘いもの毎日食べてるそうだけど、血糖値が上がるのは仕事のパフォーマンスにも影響するらしい、健康も仕事に影響するから少し健康を考えた食生活にチャレンジしてみたはどうだろう」などの設定をします。
運動好きのB君には好きなサッカーができる環境を作って定期的にサッカーをしてもらう。このように具体的な数値目標を設定せず本人の思考に合わせてそれが実現すれば、結果が繋がるように目標設定するわけです。
これをするためにも部下の仕事能力・仕事の量と質、成長余力、思考の癖等を把握しておく必要があります。
その辺りをしっかり把握して置ければ、目標設定以外でも役に立つことは間違いありません。マネージャー力=把握力です。
そして大事なのは部門の成果達成の時に初めて種明かしをすることです。
例えば先程の体重の場合だと、結果として部門で10㎏の達成ができた際には、部下のおかげで部門目標を達成できたと褒めるわけです。もちろん未達成だった場合はそもそもそんな目標を設定していたことすら伝えないわけです(結果は上司が責任を負う)。
そうすると、成功時には部下は褒められ、失敗しても怒られることはないので職場の心理的安全性は高まります。また、実はこのような部門目標は別の部門長は知っています。それとなく話が回ることは往々にしてあることです。その時に部下はどんな感覚になるかわかりますか?
おそらく「実は〇〇さんには〇〇って成果が求められているらしい、そんな話全くしてくれなかったけど、だから〇〇を進めてきたんだな。よし頑張ろう」となる事の方が多いです。
先程のアンケ―との個別調査で尊敬できる上司の3位は「責任感があって部下を守る」です。逆に尊敬できない上司の3位は「責任感がなく部下を守れない」です。
このような目標設定の方法は部門目標は上司が責任を負っていると感じてもらえやすくなります。逆に部門目標を部下に落としてその成果を追っていると責任感がなく感じるはずです。

部門目標は上司自身の成果目標です。それを分散する行為は責任を分散しているのと同じです。
しっかりと部下の把握を行い、数値等を落とさなくても部門成果につながる目標設定ができる状況を作っていく事が大事です。

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