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自意識をほどよく手放し社会参加できているのかもしれない

人に親切にすることが苦手だった。助けたい気持ちよりも、目立つことの気まずさが勝っていたからだ。

だけどいまは、席をゆずったりセルフレジの使い方を教えたり、ずいぶんスムーズにできるようになった。しないほうが居心地がわるい。

なにが大きく影響しているのだろう?

好きな人々とチームで働くなかで、他者の喜びを自分の喜びと思えるようになったこと。

見知らぬ人を助けるスピードが早い、ヨーロッパの人々を目の当たりにしたこと。このあたりかな。

それでもためらった。ベビーカーの赤ん坊と母親、道になにかを落としたらしい。どうしようと焦る姿を2mほど先に見据えながら、なかなか体が動かなかった。

久しぶりに「助けたいけど勇気が出ない、目立つのがいやだ」と反射的に思った。

手を差し伸べられる人間がほかにも3人いた。自分じゃなくても……という思いが強くなる。

でもそんな世界に生きたくないと思った。

だから、恐る恐る声をかけたのだ。

母親はぱっと笑顔になった。声をかけてほんの5秒、探し物は案外すぐ見つかった。たいしたことをしたつもりはないのに、たいそう感謝され、胸がいっぱいになる。

日本における子育ての大変さをあらためて憂いたり、本当にただうれしかっただけなのかなと思ってみたり。

答えはわからない。ほんのワンシーンからそんな大げさなと思われそうだ。でも涙が出るほどうれしくなったから、少なくとも声をかけたのは正解だったと思う。

参考:傍観者効果


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