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そのAIDMAの説明、間違えてますよ


書籍として刊行いたしました

1年ほど前から調べはじめた、日本固有のAIDMA問題、そしてAIDAモデルの起源を追う研究。その途中経過は、こちらのnoteにも少し投稿しておりました(内容がかなり変わったので、今は下書きに戻しました)。

先日、AIDAモデルは100年前になぜ生まれたのか?<心理学に基づいた購買行動研究の隆盛とビジネスの近代化>という、とても長いタイトルにして、祗園書房からAmazon限定で発売いたしました。電子書籍(Kindle)とペーパーバック同時発売です。

左:ペーパーバック版1320円、右:Kindle版1200円

そもそもAIDMAというモデルは米国起源ではない

日本の書籍やサイトに多く見られる、「AIDMAモデルはアメリカのS. R. Hall(Samuel Rolland Hall)が1924年“Retail Advertising and Selling"で提唱した」との起源説は、全くの間違いです。

AIDMAの起源についての表記は、以下の3パターンに分けられます。

提唱したという人物を、明確にS. R. Hallと指摘しているパターンから、あやふやにしているものまでありますが、下記のサイトは、いずれも明確に「Hallが、1924年の書籍“Retail Advertising and Selling"で提唱した」と記述しているものです。

●AIDMAの起源を間違えて表記しているサイト

総務省発行の「情報通信白書」すら間違えている


民間企業のサイトだけでなく、総務省発行の「情報通信白書(平成23年版)」も間違えた記載をしています。

上記リンク先の欄外に注意書きとして、以下の文章があります。

5 AISCEAS:購買プロセスや購買心理を表す理論の一つとして、アンヴィコミュニケーションズが提唱したもの。購買プロセスには、他に代表的なものとして、E・K・ストロング(米国)が提唱したAIDA、サミュエル・ローランド・ホール(米国)が提唱したAIDMA、電通が提唱したAISASなどがある

平成23年版 情報通信白書

ちなみに、「E・K・ストロング(米国)が提唱したAIDA」という記述も間違いです。国の公式の文章ですら間違えているのです。

AIDMAが載っているはずの実際の本はこれだ


Hallの“Retail Advertising and Selling"の実物はこちら。

“Retail Advertising and Selling"(実物)

この本のどこを読んでも「AIDMA」という言葉は出てきません。唯一、それらしきことが書いてあるのは、このページだけです。

「Attention、Interest、Belief、Action」しか書いていない。

AIDMAではなく、AIBAです。まさかこれを読み間違えるとは思えません。それぞれのサイトや書籍に書いた方は、原典を読んでいないということになります。
どうしてこんなことになってしまったのでしょうか? その理由の一端と思われることは、拙著に書きました。1990年頃の、日本のどこかの誰かが「AIDMA」と言い始めたのです。


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