世界の樹
幾千年の昔、とある国に頭から芽が生えている奇妙な男の子が生まれました。周りの大人達は気味悪く思いました。しかし男の子はくじけませんでした。成長と共に頭に生えている芽も次第に大きくなっていき、それは木の幹のように見えました。
すると、とある日、男の子は突然話すことができなくなってしまいました。口が塞がってしまったのです。次第に周りの人も男の子を無視し始めました。男の子は国のはずれにある草原に一日中うずくまって座っていました。すると、その場から動けなくなってしまいました。足裏から生えた植物の根のようなものが、地面とくっついてしまったのです。数日後男の子は餓死しました。しかし、周期的に降る雨のおかげで、死体の頭から生えている木は、どんどん成長していきました。数千年後、天に届きそうなくらい高く太く成長した木は、人々から拝められ、世界の樹と呼ばれるようになりました。
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