何年も胃瘻を続けた人の末路
胃瘻がどういうものかというのは、世間で知られているが、胃瘻から何年も栄養剤を受け続けた人の亡くなり方については、ご存知ないと思う。
この数年で私が看てきた約50名の最期は、誤嚥性肺炎がもちろん多い。しかし誤嚥性肺炎を起こさなくても、内蔵機能が低下して注入した栄養剤を嘔吐するようになり、吐血や下血が続く事から栄養剤が注入出来なくなり、衰弱して亡くなるというパターンも多いのだ。
胃瘻を作った時点では意識がある人も多いが、数年かけて徐々に意識は混濁し、関節は拘縮、痰が絡んで吸引器が必要になる。誤解を恐れずに言えば、とっくに身体は限界を迎えているのに栄養や水分を注入されて無理やり生かされている、という状態になる。
私たち施設のスタッフや医療関係者は「絶対自分はやってほしくない。」と口を揃える。ちなみに私は自分の親にもやらないつもりだ。
延命措置については子に決定権がある場合が多い。本人が尊厳死協会に入っていたとしても、それは尊重されない事もある。法的な効力がないのだ。
意思表示が出来なくなった時にどうして欲しいのか、尊厳死協会に入るよりも、決定権がある子やキーパーソンに詳しく伝えておくべきだ。できれば書面ではなく、対話で理解を求めた方が有効だ。
「そういえば、お母さんこんな事言ってたんだよね。」という記憶は、いつ書いたものか分からない書面を見つけるよりも、具体的で重みがある。
誰のための延命なのか、末路を見るたびに苦い思いをしている。
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