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親の看取り、苦しまずに逝けるかは子の判断に委ねられる


この記事で紹介すること


私たち子供世代は核家族の中で育ち、近親者が亡くなる経験をほとんどせずに大人になっています。

親が施設に入居していたとしても、全て施設任せで良いのか、このままで本当に後悔しないかを考えることは、親のためだけではなく、その先の自分のためでもあります。

点滴や酸素吸入はしてもらった方がいいのか、苦しまずに逝くにはどんな選択肢があるのか、今回は老衰での看取りについてご紹介します。

こんな人におすすめ

施設に入っている親が、もうすぐ亡くなるかもしれない、そんな時期の子の立場の方へ。

医師や施設と話し合う前に準備しておくべきポイントを知って、自身の考えをまとめてからインフォームドコンセントに臨みましょう。

本題


最近の事例。
パーキンソン病と誤嚥性肺炎の既往があり、食欲もなく食事が十分に摂れていないという事前情報で入居してきた80代女性。

入居して1か月、食事量がみるみる減ってきた。当初は半分程度は介助すれば食べていたのに、遂に1割程度まで減少。これは「そろそろ看取りのインフォームドコンセントをするべき時期が来た。」と全スタッフが思うような状況だった。

インフォームドコンセント(以下IC)とは、医療行為を受ける前に、医師および看護師から医療行為について、わかりやすく十分な説明を受け、それに対して患者さんは疑問があれば解消し、内容について十分納得した上で、その医療行為に同意することです。 すべての医療行為について必要な手続きです。

看取りのICとは、主に胃瘻や点滴などの延命処置を希望するのか、何かあったら病院への搬送を希望するのかなどの意向を確認する。ご家族が積極的な治療は望まない、となれば「看取りの同意書」をとる。

キーパーソンである長男が呼ばれ、妻と共に施設を訪れた。面談室には、往診クリニックの医師と看護師、施設のケアマネと看護師が顔を揃えた。

挨拶の後、長男が話し始める。
「ここに来る前に入院していた病院でも、先生に話を聞いて、蘇生はしないと決めていました。ただ、これは自分で調べたんですけど、胃瘻について相談したいと思っています。誤嚥性肺炎を繰り返しているので、食事を胃瘻にしたら肺炎が防げるのかと思いまして...。」


医師が答える。
「誤嚥性肺炎というのは、食事だけではなく唾液が肺に流れ込むことでも起きます。
胃瘻の方でも、誤嚥性肺炎は繰り返します。胃の内容物が逆流して上がってくることで肺に入ってしまうこともあります。
ですので、胃瘻を作ることで誤嚥性肺炎は防げないということです。」

長男
「そうなんですね、勘違いしていました。じゃあ胃瘻を作ることは希望しません。」

医師
「最近の食事量ですと、生きるための十分な栄養はとれていません。食べられないのは、本人の身体が受け付けない、いわゆる老衰の状態だと考えられます。
老衰の場合、痛みや苦しさはあまり感じないと言われています。お花が枯れるように、少しずつ枯れていきます。そうなってくると、1日のほとんどを眠って過ごすようになります。」

長男
「先生、点滴は必要ないのですか?」

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