【サムネは三日目】素人のオタクが一週間毎日絵を描き続けているだけの記事
ここ最近、ぼさっと絵の練習をしている。
家族のうち二人が美術系の分野で生計を立てていることもあってか、「絵を描けるようになりたい」という気持ちは、少なくとも人並みには強い方だと思う。描くこと自体もけっこう好きだ。
ただ、なにぶんうまくないので、途中でどうしても嫌気がさしてしまう。
しかし長い目で見れば、創作活動をするにあたり、絵は、描けないよりは描けたほうが何かと楽しいだろう、というのが持論だ。
たとえばゲームのコンセプトを伝える時にもそれは有効だし、自作小説のイラストを依頼する際も、より具体的な提案ができるようになるだろう。あとはやっぱり、楽しそう。漫画を描いてみたいという、小さい頃から漠然と抱いていた大いなる欲求もある。
前置きはこんな感じだけど、まぁ結構な数のオタクは、漠然と絵がうまく描けたらいいな〜と思っているのではないだろうか。
僕は、要するにそのラインの一員である。原則努力しないで絵がうまくなりたい。が、今回は若干続けてみている。ものは試し。
というわけで、今は自分だけが入っている趣味のdiscordのサーバーに、描いた絵を毎日投下し続けている。
それが一週間分たまった。
これは中途半端な状態で記事に書き留めておくことにより、このチャレンジの逃げられなさを高めておこうという試みである。
ここから下手な絵を次々に置いておく。
1日目
・Ani-artの神楽ひかりのキーホルダーが近くにあったので、それを見ながら描いた。アイビスペイントの投げ縄機能で細かく修正しまくっている。スマホで、指で描いている。
・反省点なのだけれど、初日はモデルを用意すべきではなかった。素の画力がどのくらいなのかわからず、記事にする時に映えないからだ。絵のうまくないやつが絵を練習する動機の代表例は「ビフォーアフターをブログに載せてバズりたい」であり、その点、これは僕の選択ミスだったと感じる。
・この日に気づいたことは以下の通り(ただし、正しいとは限らない)。
2日目
・模写は、絵の上達法として一番いいとよく言われているけれど、僕には向いていなかった。疲れすぎるからだ。それに、毎回強制的に題材が変わっていくとなると、慣れのようなものも生じにくい。そのため、模写はたまにやることにした。
・この絵は15分もかかっていない。「とりあえず毎日やる」ということが重要なのだとしており、本チャレンジの方向性が完全に定まった回と言える。その証拠に、下手である。全体的にやる気のない筆致だ。
・この日は他にも、授業中に落書きもしていた。講義室で見かけた人物やプリントの写真を模写したりしている。前者はよく考えるとすさまじきマナー違反であるような気がしてきたので、やめるよう心がける。
・アニメキャラの顔や髪を正確に模写するのは自分には不可能だけど、こんなふうに全体をとれば、さほど悪くないイメージにはなっている。中学校の美術のテストで、「高橋由一の『鮭図』を模写しなさい」という課題が出た時、思いがけないほどうまく描けて驚いたことを思い出した。その方面で何かを切り開ければいいのだろうか。
・これは深夜にパソコンのペイントでマウスで描いたもの。最悪である。高橋由一氏にはあとで謝っておく。
・この日の気づきは以下の通り(正しいとは限らない)。
3日目
・上達したとは言いづらいが、自分では気に入っている一枚。目が可愛い。
・あと、基本的に、自分は髪の毛を細かく刻みながら描いてしまうくせがあった。
・これは2日目の絵の髪と輪郭線だけれど、毛先が細かくジャギジャギになっていることがわかりやすい。
・うまくなれればそういう描き方もしっかりできるのだろうが、自分はそもそもマンガ的なイラストが好きなので、なんとか脱却したいなぁといつも思っていた。その点、さっきの3日目の絵は、だいぶ大胆に踏み込んだ省略を実行できているので、自分では気に入っている。
・同時に、アイビスに元々入ってる背景やフキダシの素材をあれこれすると、不格好な絵でもわりとそれっぽくなるということがわかった。なんというか「あえて崩している感」が出てくる。この調子で早いうちからごまかしを覚えていきたい。
・向上心があったのか、頑張ってペルソナ3の主人公を模写しようともしてみたのだが、こっちはてんでダメだった。
・アイビスなら元の絵を横に表示できると思いつきやってみたものの、こちらの絵の下手さが強調されておしまいになっている気がする。ちなみにペルソナ3といえば、この記事の執筆時点でなぜかTwitterのトレンドに上がっていたけれど、リーク情報をトレンドにあげんな、ぶっ殺すぞ、カス、このザコ、といったところだろう。
・気づいたことは以下の通り(ただし正しいとは限らない)。
4日目
・三日坊主の誘惑が最も強かったが、なんとか踏ん張って適当な絵を描いた。たぶん全然時間はかかってないと思う。
・どういうわけなのか、偶然できた別バージョンを保存してごまかそうともしていた。
・罪悪感を抱いたのでくら寿司のキャラ(インカム子さん)を描こうとしたが、早々に諦めて寝た。
・ちなみにくら寿司といえば、回転むてん丸という漫画が公式サイトで無料公開されているんだけど、特に第2部が、信じられないくらいめちゃくちゃ面白い。第2部は、割と普通の宣伝漫画だった第1部とはほとんど関係ないので、そこからでもオススメ。インカム子さんと同じ作者が描いている。
第一章 はじまりの海
・気づいたことは以下の通り(ただし正しいとは限らない)。
5日目
・学校帰りのバス車内かなんかで描いていたような気がする。髪の描き方は戻ってしまった。
・勢いだけはあるが、よく見ると(よく見なくても?)、骨格が色々と異様になっている。顔パーツとレイヤーを分けていることが露骨になっていないだろうか。
・三日坊主の呪いがまだ背中に取り憑いており、必死で振り払っていた。
・気づいたことは以下の通り(ただし正しいとは限らない)。
6日目
・五日坊主の誘惑が最も強かったが、なんとか踏ん張って適当な絵を描いた。見ての通り全然時間はかかってない。
・続けることが大事なのだという精神は日記を書き続けていて養われたものだが、これは順当に役に立つ。目的がそこにある以上、「満足する」ということがないからだ。
・僕の本業は小説の執筆だが、周りの小説に手を出し始めた人を見ていると「プロットを書いて人に見せるだけで終わってしまった」というケースが多い。その延長で僕にアドバイスを求めてくれたこともあるのだけれど、これも同様で、そういう場合は「アドバイスをもらうこと」が満足のトリガーになっているわけだ。それはけっして悪いことじゃないのだけれど、こと継続にあたっては、満足というのは最も排するべき出来事だ……というのが、若干誇張の入った僕の持論である。
・だからこんな絵を描いても僕は僕を許すことができる。
・あと、クリッピングという機能を先輩に教わったので試してみている。自分が指定した空間だけに色を塗ることができるらしい。これを利用し、髪の色にグラデーションをつけることに成功した。
・これらは、以前描いた歌愛ユキちゃんとARu子(普通に可愛い)(しかしまた、このARu子は首が長すぎる)なんだけど、もうなんかもうひたすら面倒くさくて全部死んでしまえ、と思っていることが、色の配置に露骨に現れている。クリッピングによって、このような面倒くさがりの気性は、若干なら改善されるかもしれない。
・気づいたことは以下の通り(ただし正しいとは限らない)。
7日目
・何を目指したんだったかよく覚えていないけれど、どうもその日の分を描き忘れていたので焦って無心でやり始めた、というのが濃厚なように思われる。
・どうせならTシャツには思い切って「デビルマン」と書けばよかったのではないか。いや、しかし、「ーン」はスペースが余ったから適当につけ足しただけで、何も意図していなかったんですよね。
・discordサーバーの履歴を見返すと、「なんでオタクが絵の練習しーようっつってこの絵柄なんねん」と自分でツッコミを入れていた。もっともである。
・この絵はたしか途中まで若干かっこよかったはずなのだけれど、試行錯誤しているうちにかっこよくなくなってしまった。難しいものだが、いまのうちに、難しい、ではなく、不思議なものだなぁ、という表現を覚えておくようにしたい。
・気づいたことは以下の通り(ただし正しいとは限らない)。
8日目
・冒頭に一週間と書いたし、タイトルも多分そんなふうになってるとは思うのだけれど、どうやら僕は数が数えられないらしく、これは8日目だった。
・『未来戦隊タイムレンジャー』のYouTube定期無料配信がスタートしたというので膨大なワクワクを携えてパソコンを開いたものの、よく見たらまだ少し先だった。しょうがないので一度視聴済みの仮面ライダー555をつける。そうしながら、40分くらいでぼうっと描いたものである。
・40分の中にはこの差分をつくる時間も含まれており、というかこちらを描いたのが先だ。どちらの描き方がよろしいのか自分にはまだわからない。ただ、先に髪の一本一本の流れを意識した描き方(後者)をしてから、その輪郭をくりとってデフォルメする(前者)、みたいな描き方をすると、個人的にはどっちも比較的やりやすくなることがわかってきた。
・細かく見ていけばよくない点は十分に目立つが(首や肩幅がアンバランスなど)、自分では嫌いじゃない回である。ただ、目はそろそろ、こういうのに頼るのをやめた方が上達するような気がする。
・気づいたことは以下の通り(ただし正しいとは限らない)。
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さて、8日ほど毎日絵を描くことを続けてきて、いくつかわかったことがある。
まず、絵を毎日描くにあたって強いモチベーションになり得るのは、たまにお気に入りの回が生まれることだと感じた。具体的に言えば、3日目と8日目、それと2日目の授業中の落書きは、自分では気に入っている。
しかし、その日にお気に入りの回が生まれるかどうかということは、実際に描いてみるまでわからない。なら、強引にでも絵を描く機会を増やして、その日の調子をチェックする方法が有効となる。
継続の本質は継続性そのものではなく、機会を増やすことである。純粋なパワー量の問題だ。「数打ちゃ当たる」である。
そもそもうまくないからこそ練習しているわけで、ゆえに、僕は、なんか違うなぁと思った日は、地の果てまで適当に描いていいことにした。運良く当たった日に喜べばいい。
そして、そのスタイルを補強してくれた気づきは、原則的に、絵を描くのはさほど時間がかからないという発見だった。この「さほど」というのは、「思っていたよりは」という意味にあたる。
ちゃんと描きこんだり色塗りしたりしていると作業時間が一時間に迫ることもあるが、そうしなければ、10〜30分で一日の作業は終わる。進研ゼミと一緒である。なら楽勝だ。もっとも、これはバストアップ図だけとかそういうことにはなるんだけど、簡単なうちはそれでいい。
この辺は、普段から日記の執筆に割いている時間や、通学時間の長さなどの事情で、僕の時間感覚が壊れている可能性もある。が、それでもまぁ、実感よりは時間が経っていないのだなということはわかった。
絵を描いている時はひとつの画面に集中していて、しかも活字からも縁遠い状況におかれる。なので、必然的に体感時間が長くなりがちな気はする。けど、実際は普通の日課程度の時間しか使っていないのだと考えれば、なんだか気が楽になった。
絵のうまくない人間が絵を練習する時のストレスとして一番大きいのは、「こんなに時間をかけているのに全然うまくならない。こんな努力は無駄で、本当はこの時間でもっと有意義なことができたんじゃないか?」という疑心暗鬼に襲われることだと、僕は考える。実際に、今回のチャレンジ中でも、時間をかけて行った模写が全然うまくいかなかった時は、多分にそう思った。
しかし、他の適当な絵に目を向けてやると、ひとつひとつは、そんなに時間はかかっていない。そのことに気づいた時は、魔法が解けたような気分だった。あるいは呪いから解放された気分とでも言おうか。
その時はじめて、自分は絵を描いてて大丈夫だ、と思えたような気がする。
以上、8日間何かしらを描き続けた記録になる。毎日やった分の効果がしっかり出ているとは思いづらいけれど、まぁ全くの無効ではなさそうだ。それに、自分の実戦から新しい知識が得られることが面白い。人体や作画を見る視線が新しくなる。
ただ、一つ問題があって、さっき気づいたことを全部書いちゃったせいで、これからの記事に書くことが一切なくなった。100日くらい続けてうまくなってから教訓として残すべきであるようなことを、8日目で書いてしまったな、と感じる。もっとも、僕は無敵なので、もし実際に100日続いたら、遠慮なく同じことを二度書かせてもらう所存である。
まだ習慣にはなっていないと感じるので、アドバイスはしなくていいです。習慣になって、そろそろもっとちゃんとうまくなりたいと思えるようになってきたら、なんか調べたり尋ねたりするかもしれません。その時までは、基本的に鎖国してようと思います。