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ワンシーンストーリー『可愛いヨッパライ』
あるバーのカウンターでのワンシーン…。
オレは飲めないながらも、
ちょいと気になる女の子とは
こうして肩を並べてグラスを傾け、
その愚痴を聞いてやったりもする。
ひとしきりグチり、
オレより遥かにグラスを空けている
“可愛いヨッパライ”の彼女が、
とうとうオレの肩にもたれかかって来た。
まったく…そんなことされたら、
オレは卑怯者にならざるを得ないじゃないか。
オレは彼女の頭を片手でこちらに寄せ、
額にそっとキスをした。
飲みながら、
時々彼女が強い視線を
オレに向けているのを感じていた。
どうでもいいけど、
今日は少し香水が強過ぎる。
ま、いいか。
今日はオレに会うのが
メインではないのだから。
そして彼女は、
このあと会う誰かとの約束の場所へと
出かけて行った。
オレは、
「もう充分ヨッパライなんだから、
無茶はするなヨ」
と言って見送った。
「うん、大丈夫」
…か、どうでもいいけど。
オレといるとホッとするって…?
ダメだ。
彼女、完全に酔っていた。
「ホッとする」というコトバ…。
オレは喜べばいいのか、
ちょっぴりショックと言うべきなのか…。
どうでもいいのか、悪いのか…、
オレにもよくわからない。
「ねえマスター。
最後に一杯、バーボン頼むよ。
・・・ミルクで割って」
End
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