ショートストーリー『海辺のコーヒーショップから』
《海辺のコーヒーショップから》
もしもし…
ハイビスカスの花が、
第一号が咲いたから、電話してみたんだ。
キミにもらったハイビスカスだから。
…何かきっかけがないとサ、
電話出来なくて…。
ねえ、
最近、月がまん丸いの、知ってる?
きれいだったよ夕べ、とっても。
ベランダから部屋に光が射し込むんだ。
月の優しい光に包まれて眠るのは、
とても気持ちがいいんだよ。
ボクのケンタッキーカーネルはどう?
持ち直しそうかい?
今、キミの町に来てるんだよ。
何となく…ちょっとね、
ここの海が見たくなって来てみたんだ。
やっぱりいいなアー。
潮風が気持ちイイ。
たまに来るからいいのかなア。
それにこの店…。
町外れにあるからか、
人があんまりいないから、
静かでいい。
相変わらず小さな丸テーブルだけど、
今はちょっと広過ぎる。
そこに、キミのティーカップがないからサ。
とにかく、
ハイビスカスの第一号が、
真っ赤に、鮮やかに咲いたんだ。
…じゃあね。
End
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