ポエティックストーリー『コーヒーを飲むなら』
《コーヒーを飲むなら》
大好きなコーヒーを飲むなら、
のどかで優しい空気の中で…。
やわらかい木漏れ陽が降り注ぐ、
昼下がりのカフェ。
テーブルは丸い方がいい。
腕時計もケータイも、
ポケットにしまっておこう。
最初は熱かった一杯のコーヒーが、
少しずつ減り、ゆっくりと冷めてゆく。
ここでは、それが時計代わり。
新聞を読むか、文庫本を読むか…。
背もたれに体を預け、足など組んで、
ちょっとカッコウをつけるのもいい。
誰かの視線を感じたら、
勇気を出して微笑み返してみよう。
きっと気分が、
もっとおいしくなるから。
もしかして、
ステキな何かが始まる…かも知れない、よ。
End
・・・と、こんな詩のようなものを書いたのは遠い過去のこと。今ってどうなんだろうね。カフェなどでこんな淡い期待を抱くようなことってあるんだろうか。もちろん世代にもよると思うけど。最近はこんなふうにくつろげるカフェをなかなか見つけられないから、そういう状況に身を置くこともなくなったけど。そう、あの頃はその「ステキな何か」が始まったり始まらなかったりいろいろだった。
今はね、もはや淡い期待は抱かないけど、せめて好みの美味しいコーヒーをのんびりくつろいで飲めるカフェがあったらいいな…と。そんな気持ち。
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