クレジットカード債務残高・金利上昇中。焦げつきや消費落ち込みのリスクは?
3日ほど前にNY連銀が家計債務と信用に関する四半期報告書を発表しました。
2022年の第4四半期の家計債務残高は、16.9兆ドルとなり、前四半期よりも、3900億ドル増加しています。リーマンショック以降下降傾向でしたが、2014年あたりから上昇に転じ、その後も上昇を続けています。
上のグラフのように71%が住宅ローンとなっています。
住宅販売は去年の7月を起点として以降下降傾向にあります。
次にクレジットカードについての状況についてみてみます。
クレジットカードによる借入金額は過去最高となっています。前年のおなじ時期よりも17%ほど上昇しています。
その上で、クレジットカードの金利についてみてみます。
現時点で、カードによる借入額が増加し続けていて、その上で金利も20%近くにまで上昇しています。FRBはまだ利上げを続ける方針ですので、このクレジットカード金利の上昇もまだまだ続くことが予想されます。
そこからクレジットカードローンの延滞率(民間銀行全体)についてみてみます。
こうしてみると、ここ1年ほどで延滞率が上昇していますが、2008年のリーマンショックごろの7%と比べると2%前後と低水準です。
ところが、資産額トップ100の銀行を抜くと、また違う状況が読み取れます。
ドットコムバブル崩壊の時期・リーマンショックの時よりも延滞率が高くなっています。さらにはパンデミックの時期の水準に近づきつつあるという形です。
このようにみてみると、どうも大手銀行では延滞や焦付きが生じているのではなく、比較的小規模な銀行での延滞率・焦付きの可能性が高い傾向にありそうです。
それを裏付ける、まではいきませんが、一つの可能性を示唆しているかもしれないと思ったデータがクレジットカードローンの貸出水準が厳しくなっている割合について示した以下のグラフです。
2021年1月〜急激な利上げが始まる前あたりの2022年4月辺りまでは、審査がむしろ緩い傾向にありました。これは、当時ゼロ金利政策をしていたことや、米国からパンデミック関連で国民に支援金があったことも関連している可能性があります。
ところが7月のデータが0、そこから半年でドットコムバブル崩壊当時の水準は超えています。この傾向が続けば、リーマンショックやパンデミックの時の水準に近づきます。
基本的な消費者金融の利用の心理としては、まず金利がひくい大手に借りに行くかとおもいます。大手の方が基本的に金利が低く、返済額が低くなりやすいためです。
一方で、大手銀行としても金利が低い分、返済してくれる確率が高い人であるかどうかの審査が厳しくなります。
ということは、大手銀行での借入がうまくできなければ、それよりも小規模な銀行の出番ということになります。そうすると、大手銀行で審査が通らなかった人は、審査で返済確率が低いと判定された人なので、返済してもらえる確率が低い分、金利は高く設定しないと利益が出しにくくなってしまいます。
大手銀行でお金を借りられなくなった消費者は、それより小規模の銀行でお金を借ります。しかしそれでも返済ができないとなると、そもそもクレジットカードの利用がストップされる可能性が高くなります。
そうすると、米国GDPの7割近くを占める、消費の部分の活動に暗雲が立ち込める可能性があります。
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