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CSTO(ロシア側版NATO)について
かつて、
アメリカとソ連による冷戦が行われていたとき、ヨーロッパでは
アメリカを中心とした西側諸国ではNATO(北大西洋条約機構)
ソ連を中心とした東側諸国ではWPO(ワルシャワ条約機構)
という軍事同盟を結成し対立していました。
冷戦の集結が宣言されたあと、
WPOは解散されソ連も崩壊しましたが、
ロシアを中心としてまた軍事同盟として
CSTO(集団安全保障条約機構)が作られることとなりました。
とはいえ、WPOでの加盟国すべてがCSTOに加わっているわけではなく、
東ヨーロッパ諸国のうち、ロシアに隣接しない国を中心にロシアの軍事同盟ではなく、
NATO側に加わる選択をしました。
そもそも、NATOが結成された目的は旧ソ連に対抗することが主だったわけなので、
その点、敵が増えて、味方が減るという流れになっていたわけです。
NATOの加盟国に、非加盟国であるロシアが攻撃してしまえば、ほかのNATO加盟国がロシアに対して参戦する流れになるわけですが、その加盟国にはアメリカも入っているわけなので、
ロシアとしてはNATOに加盟されてしまった国には手をだせなくなるわけです。
一方、もとのWPOの加盟国となっていた国は、ロシアと隣接している国々が主で、
・アルメニア
・カザフスタン
・キルギス
・タジキスタン
・ウズベキスタン
・アゼルバイジャン
・ジョージア(グルジア)
・ベラルーシ
だったのですが、
うち
・アゼルバイジャン
・ジョージア
・ウズベキスタン
の3カ国は、1999年にここから離脱しました。
この3カ国はいずれもヨーロッパではなくて、アジア側で
うちジョージアとアゼルバイジャンはロシアと隣接しています。
そうした形で、隣接している国々からもロシアのネットワークから離脱する動きが出てくるとなると
ロシア側としては安全保障が脅かされているという見方もできるのかと思います。
そういったところがあって、「大義名分」があれば、
それでロシアが介入する、といった例があります。
例えば、2008年にはグルジアにて南オセチア紛争がありました。
背景として、
2006年に南オセチアにて独立をめぐる国民投票が行われ、99%賛成となっていました。
オセチア人とグルジア人では使っている言葉が違うだけでなく、
オセチア語はロシアと同じキリル文字を使っている一方、
グルジアの場合は、グルジア文字というまた別の文字を使っているようです。
そういったところでの旧ソ連側陣営の独立の例としては、
ユーゴスラビアから、セルビア・クロアチア・スロベニア・モンテネグロと分かれるなどが挙げられるかと思います。ここはローマ字、キリル文字が混在していました。
結果、ロシアはこの南オセチア紛争に介入し、グルジアの領土の一部が独立し、
ロシアがそれを承認するという形を取りました。
この、紛争にロシアが介入し、実効支配をし、現地の独立を承認するという手法は、
2014年、2022年におけるウクライナをめぐる争いにも共通しているような気がします。
とはいえ、グルジアはここからロシアと距離をとるようになり、
呼称がグルジアというロシア語に近い言い方から、英語風のジョージアに変更し、
さらには2022年3月ごろには、EUへの加盟申請を行いました。
しかしながら、ウクライナ・モルドバがEU候補国として認められた一方で、
ジョージアは認めらていないようです。
ともあれ、
・内戦の発生
・NATOへの加盟
といったところが契機になり、ロシアが軍事介入する可能性があり、
その後は
・EUへの加盟
という動きになっているところがあるようです。
そもそもなんでこんな話をしているかというと、
FMというETFには、カザフスタンのIT企業の株が割合的に多く組み込まれており、
そのカザフスタンという国の地政学リスクについて考察してみたいと思っていたためです。
こういった前例を踏まえて、カザフスタンの情勢についてはまた別記事にて書いてみようかと思います。