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おっちゃん、ありがとう。

いつぶりだろう、会社に行くの。確か去年の10月半ば。今や月に1回くらいしか都内には来ることもなく、自宅の大阪でこなしてきた。

が、いろいろと知らないうちにいろんな方からお届け物もあったり、書類をいろいろと片付ける必要もあったので約半年ぶりに出社した。

僕の都内宅からは最寄り駅から大門、浜松町で乗り換えて某所がオフィスだ。昼過ぎに都内地下鉄に乗車した。人はまばら、大門に着いた。

改札、ほとんど人がいない。地下3階から地上へ出るエレベーターの方へ向かう。以前はデイリーヤマザキとフレンチ・ビストロっぽい肉料理の店があったがCLOSED。エレベーターも以前は1人で乗ることがレアだったが、誰もいない。

貿易センタービル、1階の車寄せ。クルマひとつない。人も1人、清掃員の方がいた。半年ぶりの浜松町は近未来の映画でも撮れるかのような閑散とした世界だった。

会社のあるビルに着いた。ビルは何も変わっていない。ドアに向かっていったが、

閉鎖中

と張り紙があった。どっから入るねん。

守衛室に通じる1階の廊下があるがそこに入ろうとするとドアがあり、入れない。誰かが出てきた。ドアが空いたので入っていった。しばらく歩くと守衛室前に近づいた。ササっと、守衛の方が出てきた。

「身分証をお願いします。」

ポケットから身分証を取り出した。

「本当に久しぶりの出社で、申し訳ありません。ここからしか入れないんですね。」

「はい、ドアの左手に身分証をタッチしてもらったら開錠しますので、次回からそちらでお願いします。」

「あの、ずっと守衛されてるんですか。」

「ええ、行き来だけ気をつけたら大丈夫ですよ。基本座ってるだけなんで。」

「いや、なんかありがとうございます。」

そのまま2階へ行こうとしたが、以前はカフェとコンビニが1階にあったが案の定CLOSED。ガランとしていた。

2階へ行くと警備員の方が2階ロビーから入館するゲート前にいた。

「お疲れさまです。」

「もしかして24時間体制なんですか。」

「えぇ。」

僕はなんか胸があつくなった。世間は緊急事態宣言下。恐らく皆さんもおうち時間を過ごしているだろう。僕はニュースで品川駅構内や最寄りでインタビューを受けている人達を眺めながら、

「なぜ出社するんだろう。どうして携帯やラップトップでコミュニケーションできないのだろう。」

とラップトップ越しに呟いていたが、たしかにビルのセキュリティは必須だ。ビルが開くと誰かが必ず入館する。清掃員の方も出番だ。

都内宅から会社まで30分くらいだろうか。

・コンビニ、スーパー、ドラッグストア
・立ち食いそば屋さん
・東京メトロ、都営地下鉄の職員さん、バスの運転手さん
・ビルの守衛さん、清掃員さん
・タクシーの運転手さん
・電車、モノレールの駅職員、運転手、車掌さん

たくさんの働いている人を見かけた。黙々と任務についている。

さぁ、会社に到着。

20時までぶっ通しで仕事とかちょっとスマートフォンいじったりであっという間だった。

帰り際に守衛室に入館の時と同じおじさんがいた。

「帰ります、失礼します、お疲れさまです。長いんですね。」

「もうちょっとあってね。お疲れさまです。いいゴールデンウイークを。」

(いやいや、僕なんかどうでもいいから今日はいつもよりいいビールでも買って晩酌してくださいよ。)

また駅にいき、電車を待つ。電車がやって来た。運転手さん、すごいなぁ。電車に乗ると、同じようにお疲れ気味の人が数人だけどいた。

僕はなんかとても心地よかった。「働く」ってこういう事だったなぁ。年末に取引先というか僕の大好きな企業の課長さんからとても立派なカレンダーが届いていた。実は毎年もらっていたが、今年はコロナ禍だから諦めていた。机の上に数ヶ月置かれたままだったのか。

僕がその会社の商品が大好きで、入札の前後で商品の話をすることがコロナ前は尽きなかった。覚えてもらっていた。仕事って人と人のつながりが多々あったなぁ。片手にそのカレンダーが丁寧に封入された細長いダンボール箱、片手に傘、リュックを背負って帰路についた。

スーパーでエコバッグを取り出して、朝から何も食べて、飲んでなかったから思わず奮発した。

どんなときでも「働かないと」いけない人たちがいる。家では出来ないのである。リスクもそこいらにある。マスクを午前中と午後で替えているかもしれない。不快な時もあるし、調子の悪い時もあるかもしれない。でもその人にしか出来ない仕事なのだ。だから僕は今日、会社に行けたのだ。それがコロナ前は当たり前だったのだ。

いろんな新しい可能性を模索している人がたくさんいる。でもコロナ前と変わらない働き方や過ごし方をどうしても過ごさないといけない人たちもいる。

僕たちが本当に考えないといけないのはそういった人たちが、よりリスクを和らげて働ける世界なのかもしれない。

「ありがとう、守衛のおっちゃん。」

やっぱり本当に仕事をしたいときはこっそり会社で1人で半日仕事するのが一番かもしれない。東京に来てよかった。また休みの日に来月来よう。

ゴールデンウイークは始まったばかりらしい、今ニュースを見て気付いた。いいスタートだ。ただただ、いつも外でからだを張って働いている皆さん、ありがとうございます

今日もお読み頂きましてありがとうございます。ステキな連休をお過ごしください。

追伸
今日のフォトはellenheさんの作品。今の都内は真っ暗だけど、またこんな風にマスクレスで散歩したいですね。今日もクリエーターさんに感謝。

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