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捨てられて間もなくボス猫に成り上がった黒猫
YouTuberのtomiryuと申します、こんにちは。
2024年の年末あたりから、どこかしらの元飼い猫が近所のスーパー付近に棲み着いていたので、毎日の散歩ついでに観察することにしました。
人への懐っこさや過剰なストーキング行為から、スーパーのおばちゃん店員は「飼い猫だったんだろうねぇ。」と言っていました。
憎めない図々しさ、愛らしさを感じる黒のデブ猫です。
誰にでもニャーニャーと近寄っては、体を擦り付けて猛アピール。
最近はスーパーの付近にある漁協へと拠点を変えており、職員から可愛がってもらいながら、土日には波止場に来る釣り人から魚をせびっているようです。
僕が住んでいる小さな村にはそれなりに野良猫がウロウロとしていますが、彗星の如く現れたその黒猫は、早々にして漁協の王座(縄張り)を獲得していました。
他の猫への威嚇を徹底し、まるで元々そこに自分が住んでいたかのような佇まいで、当然かのようにボス猫となっていました。
村の中では前例なしの飛び級だと思います。
毎日、死に物狂いで愛嬌を振りまいている。
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一日にしてボス猫と成り上がった黒猫ですが、それに見合うほどの泥臭い根性を持っていました。
それは、「力を持つ者に媚びる能力」が他の猫と比べて段違いにずば抜けていた点です。
黒猫は体格がいいのでボスになるべくしてなったとも言えますが、それ以上に、人間に対しての媚び方が他の猫と比べ物にならないレベルでした。
一度撫でてあげると、エンジン音のようなゴロゴロが止まらず一生ついてきます。
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一度かまうと、しつこいほどに体を擦り付けてきて、ものすごい圧力をかけてきます。
これを徹底するだけで餌がもらえることを知っているからでしょう。
人が通るたびに、尻尾を立ててトコトコと後をつけ、ヒステリックにも感じるような鳴き方で猛アピールをする日々。
釣り人から魚を分けてもらい、漁協の職員から餌をもらうことで生計を立てているようですが、やはりそこまでしないと満足のいく結果は得られないのでしょう。
今では漁協の敷地内に簡易的な段ボール小屋と餌皿を置いてもらうほどの成り上がりを見せていますが、あわよくば持ち帰って欲しいという気持ちもあるのかも知れません。
なりふり構わない精神が生きる力になる
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散歩をしているだけで、黒猫があちらこちらに必死に営業している姿が、生々しく見受けられます。
この村にやってきて(捨てられて)から3ヶ月ほどが経ちますが、村人たちが放っておけないほどの存在感を放つようになりました。
しかめっツラなおじさんも、ほぼ90度に腰が曲がった婆さんも、たまに来る釣り人も、撫でてあげたり餌を与えたりしています。(去勢済みなので繁殖の心配はなさそうです。)
これほどの短期間で縄張りを獲得し、村のアイドル兼ボス猫に成り上がった実績は、この村の野良猫界でも稀な例だと思います。
未知な存在への警戒心を持たず、餌をもらうためなら誰に対しても、いつでもどこでも努力を尽くしていました。
元は飼われていた猫だったので、甘えて撫でてもらいたいという純粋な気持ちもあるのかも知れませんが、やはりゴールは餌をもらうことでしょう。
野良猫の世界は厳しいので、餌のためならなりふり構わず甘えまくるといった、人間界でいう夜の仕事に近いメンタリティーなのかも知れません。
家猫とは違い、選ばれなかった野良猫は自分なりの生き方を探っていくしかないようです。
住処は提供できない現実、サバイバルは続く。
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これだけ愛嬌を振りまいて村人から愛される存在となった黒猫ですが、いまだに野宿です。
変わらず野良営業の日々を送っています。
やはり人間にも事情があり、ほとんどの人が養えるほどの余裕なんてありません。
この寒すぎる冬に、どうやって我慢しているのでしょうか。
毛皮のない人間であればすぐにメンタルが折れて、のたれ死ぬような環境下です。
野良猫界は本当に過酷で、感染症やら事故やら栄養失調やらで平均寿命は3〜5年とされているようです。
一見、みんなにトコトコとついて行って可愛らしい姿ではありますが、やはり本人は死に物狂いなのでしょう。
お互い、ある程度の距離感を保ちながらメリットを与え合うという関係性がいいバランスなのかも知れません。
猫は癒しを与え、代わりに餌をもらう。
あの黒猫はシンプルかつ普遍的なサービスを、誰よりも高品質で届けて生業にしています。
とはいえ屋外の日雇い労働、その日暮らしに変わりはありません。
家猫にいた頃の記憶などすでに忘れ、今も鋭い左目を光らせているのでしょう。
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