人を好きになることは
「百八円の恋」のシングルCDを買いました。中古コーナーで半額セールで。
映画も大好きで10回は観てると思う。レンタルで。まだまだリピートし続けると思う。(なぜソフトを買わないのかは自分でも不明。)エンディングで流れる歌もとても好きだったので嬉しかった。歌は3曲入っていてどれもとても良かった。尾崎世界観の作る歌は本当にダメ男感が漂うけれど、ダメ男独特の魅力があってこれも一種の魔性なのだろうか。
又吉の「劇場」とか、映画本編の映画の新井浩文演じるボクサー崩れとかいろいろ思い出させれられる。
いつか職場の女の子たちの話題に上っていた「ダメなところが良い・たまらない」男の子とか。愉しそうに話していたもんな、あの子たち。その男は一回り年上の女性と職場の飲み会の流れで出来婚をして、数年後には病気で余命いくばくもない自分の両親を妻に預けたまま、部下の女の子と恋愛をして自宅へは帰らなくなり、その後離婚した。労務管理の担当だったので社会保険の手続きは私がした。
相手がダメダメでもそれが良くわかっていても人は恋をする。
「百円の恋」では新井浩文演じる狩野は風邪で熱がある安藤サクラ演じる一子にでかい肉の塊を焼いて食べせていた。箸が折れるほど固い塊のまま。しかもその肉は一子から借りた金で買ったものだ。あれこれなんか既視感あるな。そうだ。かの名作ドラマ、おっさんずラブで風邪で寝込んでいる牧に春田が食べさせた餅粥だ。
どんなに熱があっても、しんどくても、平常でも食べられないくらいの難物でも惚れた相手が作ってくれたものは嬉しくありがたく食べるのだ。
きっと最初で最後のボクシングの試合にぼこぼこに負けて傷だらけの一子を狩野が待っている。傷心旅行に出ようとしていた牧を春田が追いかけたように……。映画が終わり、ドラマが終わった後に、彼らの物語はどこに行くんだろう。
「蜜のあわれ」での大杉漣演じる老作家の最後の呟きが聞こえる。金魚の翻る赤いドレスが目の端をよぎる。
人を好きになるということは…
尾崎世界観の歌声が聞こえる。
切なくて、痛くて、幸せだ。そんな記憶が蘇る。