名曲喫茶ミニヨン
ごきげんよう富栄でございます
今回は東京都杉並区荻窪にあります「名曲喫茶ミニヨン」さまを訪問してまいりました
この喫茶に訪れたのには理由があります
私の愛してやまない嶽本野ばら氏著「カフェー小品集」の中にこの名曲喫茶ミニヨンが登場するからです
壁に音楽イベントのフライヤーが貼られた階段を上ると「ミニヨン」とかかれた小さな看板が迎えてくれる
ミーハー全開な心で訪れた私であったが、店の扉を開いた瞬間ハッとした
ここで騒いではならない
名曲喫茶は音楽を聴く場所であり
ぱしゃぱしゃとシャッター音を鳴らしたり、お友達と歓談したりする場ではないからです
私はその名曲喫茶のしきたりに従い静かに席に着きました
バーや居酒屋がアルコールを潤滑剤に人との会話を楽しむ場であるのに対して、喫茶店はその反対側にあると考えています
珈琲や紅茶片手に上質な孤独を味わう場である、と
レコードの音に耳を傾けながらこの記事をかいています
古いスピーカーは時折ブツッと音を立てながらクラシック音楽を奏でている
シューベルトの即興曲集だろうか
カウンターの奥にはレコードが隙間なく並べられ、店内にはピアノ、スピーカー
店の中央にはオレンジのシェードランプが灯りをともし、その周辺にふたつ椅子が並べられたボックス席
窓際には丸いランプが吊り下げられている
私は1番スピーカーに近い、ラタンチェアの席に腰を掛けた
電話のベルが鳴る
ティロリロリンと可愛げな呼出音
ママが電話を取る
話の内容を聞いたところこの喫茶はママひとりで営業しているらしい
カフェー小品集には「齢90のママが1人で営業している」と書かれていたが、現在のママはその娘さんだろうか
5.60代くらいのテキパキと動くママだ
隣の席では常連らしき男性が珈琲片手に時代小説を読み、そのまた隣では夫婦らしき男女が小声で音楽談義に花を咲かせている
ページをめくる音もシューベルトの好きな楽曲について語り合っている声もこの心地いい空間を作り出す要素になっているのだろう
レコードがバレエ曲に切り替わった
さて、カフェー小品集のミニヨンのページを読み返すことにしよう
富栄でございました
おやすみなさい
写真📷