TOMIDENのしごと|電気の会社が挑戦する農業と現在地
こんにちは!TOMIDEN note編集部です。2025年に突入してはや20日。
お正月気分もだいぶ抜けてきた頃ではないでしょうか?
茨城県石岡市の電気工事業からはじまり、50年の歴史を紡ぐトミデン一同も、さらなる飛躍に向けて日々邁進しています。
主力となる電気事業はもちろん、厨房設備事業、まちづくり事業、農業事業、各部門での発展を今年も目指します。
今回お話しさせていただくのは、昨年から本格スタートした農業事業の歩みについてです。
トミデン新事業の農業はいまどんな感じ?
和田本社長が自ら先頭に立ち進めてきた、トミデンの農業部門。
2023年、創業の地である茨城県石岡市でスタート。そのうち大麦は2haを活用し、11月に種植えをしました。
2024年6月には、第1回目の収穫。約2tの大麦ができました。
農業を起点としたまちづくりの可能性を考えてきた中、このつくった大麦で「うまいクラフトビールをつくりたい」というのが和田本社長の想いです。
ビールにするには、麦芽にしないといけません。
そのために収穫した大麦はまず、
浸麦(大麦を水に浸して発芽させる)
↓
焙燥(発芽した大麦を乾燥させ、発芽を止める)
という工程で製麦します。
できあがった麦芽(モルト)が、さらに
仕込み(麦芽から麦汁をつくり出す)
発酵(麦汁に酵母を加えて発酵させる)
貯酒(発酵を終えたばかりの若ビールを貯蔵して熟成する)
というステップを経てビールになるのです。
今回はご縁があって、サントリーモルティング様に製麦をお願いさせて頂けることになりました。
日本での製麦は限られており、距離的にも近いサントリーモルティング様のお世話になれることはとても有難い機会です。
2025年3月、石岡で収穫した大麦を製麦頂く『待ち』の状況です。
和田本、農業を語る
「電気の会社で、農業をやる」
一見突拍子もないアイディアをここまで形にしてきた和田本社長に、昨年の新たなチャレンジを振り返ってもらいました。
トミデンならではの麦栽培
和田本:
ちょうどさっき、社内の農業担当者とも話してたんだけど。ふつうの麦農家がやるやり方とは、違う方法でやってきてはいるんですよね。
——ふつうとは違う方法、ですか?
和田本:
ふつうの麦栽培では、消毒もするし、除草剤とか化学肥料も使う。でもうちでは、使わないで済むものはなるべく使わないで済まそうと考えました。
そういうやり方を選んでいるのは……もちろん、(自分が)余計なモノの入っているお酒をあえて飲みたいわけではない、というのもあります。でもそれより、「みんな決まったやり方にとらわれ過ぎているんじゃないか?」という思いがあって。
——既存のやり方に疑問があった?
和田本:
農薬をまいたり、化学肥料を使ったり。「これを使わなきゃいけない」ってものが農業には多すぎる。でも「使わなかったら栽培できないのか?」というのは、そうでもない。それ以外の道もあるとは思っていて、いまはまだ何度かできていないからわからないんです。
——”ふつうこうする”を踏襲するのではなく、新しい方法を探してみる。和田本さんらしいですね。
和田本:
偏屈なだけですよ(笑)
和田本:
具体的には、「プラウ耕」っていう方法をとっています。「プラウ」っていう機械を使って、普通のトラクターより深いところ(※)を掘り返す。その深い部分には、栄養もあまりないけど、菌もいない、フレッシュな土があるので。
※一般的なロータリー耕のトラクターでは、掘り返す土の深さは20センチ未満とされている。
トライ&エラーの第一歩
——新しいやり方ならではの苦労もあったんじゃないですか?
和田本:
苦労ね。苦労というか、リスクなんでしょうね。
——リスク?
和田本:
(みんながやらない)問題がある方法でやっちゃってるんです。実際、今年は2haで2tとれましたけど、それって標準的な収量からすると多分少ないんです。だから、失敗と言われれば失敗なんだと思っています。
ですが、全くとれなかったわけではない。だからわたし的には、それでもよかったんじゃないかと思ってます。
——前向きにとらえているんですね。
和田本:
そしたら今度は、「ここからもう少しとれるようにするにはどうすればいいか?」って考えていくことによって、それなりの答えが出ると思っているんですよ。一年目でいきなりそこに行き着くのは難しい。トライ&エラーでいいと思います。
——2024年は、トミデンにとっての農業元年。まずは挑戦の年で、ここから数年スパンでいい方法を見つけていければいい、ということでしょうか。
和田本:
そんな感じかなぁ、と思いますね。
電気の会社が、農業をする意味
——社内で農業事業に携わっているのは和田本社長のほか3名。工事部など、ほかの部門の社員が関わる場面は少ないですよね。
和田本:
そうですね。若い社員たちは、収穫とかを手伝ってくれました。ありがとうを伝えたいですね。
——「農業をやる」と最初に言ったとき、社内の反応ってどうでしたか?
和田本:
別に、いきなりではなかったからね。前々からやろうというのは言ってたし、『いよいよやるのか』って感じでした。
ただ、もともと言ってたのは、先端農業の領域だったんです。たとえば、トマトを大規模栽培しようというとき、大きなビニールハウスを使いますよね?そのハウスの中で、苗に溶液を行き渡らせたり、自動のカーテンで温度や日当たりを調整したりする。これ、全部電気でいう”制御”の世界なんです。
我々電気屋さんも、制御の世界で生きているから。農業とは親和性があるんじゃないか?っていうことを話していたんです。
——電気で培った経験が、農業の役に立つ。
和田本:
農業分野に入っていくには、やっぱり農業を勉強しないといけないのでね。そう言っているのをスタッフは昔から聞いてたから。
——だから、「農業をはじめる」と言っても、あまり皆さん驚きはなかったんですね。
和田本:
そうですね。まぁ、「ビールをつくる」っていうのは「聞いてないよ」ってみんな思ったかもしれないですけど。もともとの話しはトマトで、別の内容だったわけだから。
社内メンバーも驚いた、ビールづくりへの挑戦
和田本:
なんでビールに行ったのか。たとえばさっき話したようなトマトの大規模栽培って、かなり大きな投資になるわけですよね。発電所やなんかも関わってくる。そこに、なんの実績もない電気屋が出てきて「一緒に農業やります」って言っても、説得力がないじゃない。
——たしかに、そうですね。
和田本:
だから、やっぱり農業とまちづくりをやっている電気工事屋だっていうブランドがほしいわけです。それをつくろうと言ったら、いちばんは地元の石岡で麦をつくって、ビールをつくって、まちづくりに貢献していくのがいい。
——最初は社員にも驚かれたビールづくりですが、もともとの展望に向けて必要なステップであったんですね。
ビールづくりは次のステップへ
2025年3月にモルティングが完了したら、次はいよいよビールの仕込み。
ですが、トミデンには現在ビール造りの設備がないため、ビール造りもどこかのブルワリーに協力してもらう必要があります。
言葉では簡単に書けますが、これがけっこう大変です。
「相手からすると、まだどんな麦芽かもわからないのに『はいわかりましたよ』って引き受けるのは多分難しい。だから、モルティングを待ってから、あがってきた麦芽を大事に抱え、いろいろなブルワリーさんを回りたいなと」
一筋縄ではいかなそうな、パートナー探し。ですが、今後を語る和田本社長のことばに耳を傾けていると、なんだかワクワクしてきます。
石岡で育った大麦からつくるビール。どんな味がするんだろう?
皆さんと乾杯できる日が、待ちきれません。
さいごに
TOMIDEN note編集部は、創業50周年を迎えた株式会社トミデンの魅力をたくさんの方へお伝えするため、2024年から始動しました。
TOMIDEN noteを通して、チームトミデンの魅力、トミデンのポテンシャルを感じて頂けたら、こんな嬉しいことはありません。
・ゆるやかな連携案
・本格的な連携案
・採用(正規、非正規、パート)
・事業のご提案
・その他
がございましたら、何なりとご意見を頂戴できれば幸いです。
会社の方針の全てをお伝えできているわけではありませんが、できる限り透明で、トミデンそのものを知って頂けるよう、一歩一歩進んで参ります。
それでは、次回の記事もお楽しみに!
2025年1月20日
TOMIDEN note 編集部
編集長:辻吉彦
文:とりのささみこ