映画『六人の嘘つきな大学生』を観ました

みなさん、こんにちは。

昨年、『六人の嘘つきな大学生』という映画を観ましたので、観て感じたことを書いていこうと思います。
この映画は11月22日に公開されましたが、浅倉秋成さんの小説がもとになっています。

実は、以前、この小説を読んでの感想を記事にしていましたので、よければそちらもご覧ください。

この記事の最後のほうで、「おそらく近いうちに映画化されるのではないかなと勝手に思っています」と記載していますが、そこは的中しました。
ただ、この記事の最後にキャスティング予想をしておりましたが、全く当たっていませんでした。笑
実際のキャストは、
波多野祥吾・・・赤楚衛二
嶌衣織・・・浜辺美波
九賀蒼太・・・佐野勇人
矢代つばさ・・・山下美月
森久保公彦・・・倉悠貴
袴田亮・・・西垣匠
です。
確かに、嶌衣織に関しては浜辺美波はピッタリだと映画を見てて思いましたし、原作者である浅倉秋成さんも、嶌衣織は浜辺美波をイメージして書いていたようです。
こういうキャスティングも、小説が映画になるときの楽しみの一つです。
自分のイメージと原作者や映画制作陣のイメージとが合っているのか、ズレているのか、仮にズレていても「そうイメージしたのか!」と個人的にはおもしろく感じる部分です。

さて、ここからは映画や小説にも多少触れながら書いていきますので、ネタバレ注意です。

【映画のあらすじ】

「スピラリンクス」という就活生憧れの企業の新卒採用試験で最終選考まで残った六人の大学生。
スピラリンクスがこの六人に課したのはグループディスカッション。
事前に議題も伝え、結果次第では全員が内定をもらえるものでした。
六人全員が最終選考を突破し、仲良く入社するはずだったのですが、ある日突然、スピラリンクスからグループディスカッションの議題変更のメールが……。
その内容は、六人の中から内定を獲得する1名をグループディスカッションで決めることだったのです。
一緒に入社しようとチームになっていた六人は突如敵に……。
最終選考当日、立った一つの内定の座をかけてグループディスカッションが始まりますが、部屋の中に奇妙な封筒があるのを見つけます。
その封筒には六人の「嘘」や過去の「罪」が書かれた紙が入っており、次々と六人の裏の顔が暴かれていきます。
一体誰が内定を獲得するのか……。
そして、この封筒を用意した犯人とその目的とは……。

みなさんもぜひご覧になってください。
私はこの作品をこれまで4回楽しみました。
最初はNHKラジオ(青春アドベンチャー)、次に小説、それから何年かして映画が公開されることを知り、映画を見る前にオーディオブック、そして映画、と思い返せばめちゃくちゃこの作品のこと好きじゃんというほど読んで聞いて見ています。

【小説と映画どちらがいいのか】

『六人の嘘つきな大学生』を映画でも小説でもまだご覧になっていない方、どちらから先に手をつけるべきなのか迷っている方もいらっしゃるかと思います。
特にこだわりがなければ、小説を読んでから映画を観てもらうほうがいいのかなと私は思います。
今回の映画は小説とは異なる箇所が多々ありました。
「このセリフ、小説ではこの人が言ってたのに映画ではこの人が言ってる」とか「小説と映画で設定や展開がちょっと違うな」と感じる場面が結構ありました。
この作品に関してどちらが好きかと聞かれたら、個人的には小説のほうが好きです。
映画の中の波多野祥吾よりも小説の中の波多野祥吾のほうがかっこよかった気がします。
というのも、波多野祥吾はグループディスカッション後、ある行動を起こすのですが、その動機が映画の中で語られるものよりも小説の中で語られるもののほうが彼らしいと感じたのです。
また、まだ映画しかご覧になっていない方は、映画の中では六人のうちあの人の「嘘」、「罪」がなんなのかと気になっている方もいらっしゃるかもしれませんが、小説の中ではしっかりそのあたりも書かれてあります。
なぜ映画の中でそのあたりを出さなかったかというと、小説の中での重要な伏線が一つまるまる映画の中で出ていなかったからです。
まあ、小説の中で出てくるあれだけの伏線、ストーリーを2時間の映画ですべて表現するのは難しかったのだと思います。
そのため、映画で犯人を知ってから小説を読むよりは、先に小説でしっかりと伏線回収を堪能して犯人がわかったときのあの快感を味わっていただきたいなと思います。
あと、作品の内容は全然関係ありませんが、映画を観ていて感じたのは、「佐野勇人、めちゃくちゃ声いいじゃん」です。
途中から「この人、アニメのかっこいいキャラの声優したら合うだろうな」とかそういうことばっかり考えていました。
そこも見どころの一つです。笑

【映画での印象的なシーン】

今回の映画で「これいいな」と感じたシーンがあります。
正確なセリフは覚えていませんが、終盤あたりで誰かがある人の過去の秘密について言ったセリフで、「もういいじゃん。どんな秘密があろうとそれは過去のことなんだよ」みたいなニュアンスのセリフがありました。
小説では、六人全員の秘密が暴かれるのでこんなセリフはなかったのです。
例えば、最近付き合い始めた恋人がいたとして、ラブラブでいい感じだったのに、実はその人が昔犯罪をしたことがあるとか、あやしい仕事をしていたなどと知ったら、あなたはどうするでしょうか?
変わらず好きだと思い続けることができるでしょうか?
これまでどおり接することができるでしょうか?
中には、その人の過去の罪や過ちを知った途端、その人との関わりをやめる人、その人を軽蔑する人、その人を攻撃する人もいるかもしれません。
でもよく考えてみてください。
その人が今、何かあなたに悪いことをしているでしょうか。
人間誰しも、他人に知られたくないような過去、いわゆる黒歴史というのはあります。
誰しもが持っていることなのに、他人の黒歴史が明らかになった途端、手のひらを返したようにその人への対応を変えるというのはなぜでしょう。
黒歴史(というのも主観的な言い方ではありますが)は事実でも、それは過去のことです。
過去はあくまでもその人が生きてきた過程です。
その過去があるから今のその人がいるのです。
つまり、その過去(黒歴史)がなければ、あなたはその人を好きになっていなかったかもしれません。
それなのに、その好きな人を構成しているほんの一部分である黒歴史が見えた途端、その人のことが嫌いになるなんておかしくないでしょうか?
好きな人が服を脱いだとき、普段は見えない例えば背中のある部分にほくろがあるのを見つけて、「この人、こんなところにほくろがある。なんか嫌だ。嫌いになった。別れよう」となっているようなものではないでしょうか?
これは私自身も意識していることですが、過去にとらわれてその人の現在を見失うことはあってはならないと、映画ではそういうことを感じました。


【おわりに】

ある人の黒歴史が明らかになった途端その人の見方が変わるというのは今の時代よくある話です。
芸能人が過去に〇〇をしていたとか、とある俳優が実は〇〇だったなど、そういった情報がSNSでは毎日と言っていいくらい頻繁に流れてきます。
本当かどうかもわからない情報に翻弄されて、変えなくてもいい価値観やものの見方をいとも簡単に変えられ、挙げ句の果てにその人に罵詈雑言を浴びせるなんてことがあります。
でも、そうならないための方法はあります。
それは、「私たちにはそういう傾向がある」と知り、それを思い出すことです。
SNSで大好きな芸能人の黒歴史を目にした際、嫌いになりそうになったら、「あー、今一瞬にしてこの人のこと嫌いになりかけてる。でも、こういうときって嫌いになる傾向があるよね。よく考えたら本当にこの情報が正しいのかもわからない。ならこの情報を信じることもしなくていいじゃん。仮にもし事実だったとしても、私が〇〇のことを好きなことには変わりない」などと考えてみてください。
情報が溢れている今の時代、ネガティブな情報もたくさんありますので、何を見なければいけないのか、しっかりと考えることが大切なのかもしれません。
間違っても、よくわからない情報に便乗して、匿名で誰かを叩いて満足したりしないようにしてくださいね。

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