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【日記】 「ベーグルのような文章」

朝、窓を開けると気持ちのいい風が吹いていた。
出掛けたくなり、自転車に乗って家から少し離れたお気に入りのベーグル屋さんに行く。
ケース越しに何種類か選び、お金を払う。
そして購入したベーグルを店員さんから受け取るのだが、
僕はこの瞬間が好きだ。
いつも、思っているより重い。
想像を超えるずしりとした手応えに、すまし顔でお店を後にしながら、内心はかなりニヤけていた。

きっと僕は、ベーグルの味や形もさることながら、密度の高さ(その結果、見た目より重く感じる)が好きなのだと思う。

ここまで書き進めて、ふと思う。
ベーグルのように密度の高い文章が、僕の理想なのかもしれない。
ここで言う密度とは、文字数が多いとか細部が描写されているとかではなく、思考の密度のことだ。
たくさん考え、煮詰められた文章はかえってシンプルで、見た目は平易で読みやすい。なのに意味を咀嚼しようとすると、噛みごたえがあり、思っていた以上にずしりと胸に響く……。
まさにベーグルそのもの。
目指すべき頂はすぐ近くにあったのか。

今日の気づきによって、これからベーグルを食べるたびに、理想の文章へのイメージは、より具体的な質感を獲得していく気がする。
この日記を書くようになって、文章のヒントは文章の中だけにあるのではないと感じる瞬間が増えた。
今日は書くことがないなと思っていたけれど、
やっぱり日記を書いて良かった。


photo 雨樹一期



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