袖振り合うも多生の縁

 今朝の通勤電車の目の前、その二人は別世界に居る。一人は半分白髪で4つ目のワイシャツのボタンが開いているおじさん。腰を落とし気味にして寝てしまった。そしてもう一人の隣のおじさんに寄りかかっている。

 隣のおじさんは新聞を読んでいる。 肩を大きめに動かして何かをアピールするように新聞をめくる。新聞のページをめくる音が異様に大きい。私はスマホを見ていたけど新聞のガシャガシャ!って音が気になって目の前を見下ろす。近くの人たちは気づくのではないだろうか。

 何のアピールかは見ればわかる。一方は他人のおじさんに身を預けウトウトし、一方は一人張り合う。物語が繰り広げられている。

袖にうなだれ、そして張り合うも他生の縁。
眺めながら通勤する。

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